source: KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック
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『2001年宇宙の旅』は何通りもの見方が出来る映画です。しかし、本作を「食べ物の話」だという主張を聞いたことがあるでしょうか?
今回は、この荒唐無稽なようで非常に興味深い、『2001年宇宙の旅』は「食べ物の話」説をご紹介します。
io9のチャーリー・エディ記者は『2001年宇宙の旅』を繰り返し視聴した結果、映画の尺に対して、やたらと食事シーンが多いと感じたそうです。そして、「The Hidden Meaning of 2001: Space Odyssey」というエッセイ(2007年)を書いた、ジョッシュ・ロンセンさんも同様の意見を持っていました。
(以下リンク先へ:Kotaku JAPAN/2015年3月18日)
『2001年…』に食べるシーンが多い、というのは割と昔から語られてきた事ですが、あまり真面目に検証しようという動きはなかったように思います。記事はかなり深読み・こじつけの類ですが、まあ面白がって読むには悪くないかな、といったところでしょうか。
真面目に言えば、『2001年…』のメインテーマを「人類の進化」とするならば、絶対に必要な食事シーンは猿人が肉を喰うシーンになります。これは猿人が草食から肉食へと進化した事を意味し、それは食物連鎖の頂点に立った、つまりこの地球の支配者として「猿人から人類に進化した」ことを示唆しています。クラークの小説版ではこの点がはっきりと語られています。
残りのシーンですが、ブッシュベビーやチェス、HALのデイジーの指摘は笑いどころとしても、他の食事シーンにはそれなりに理由があります。キューブリックはこの作品で「宇宙での人類の日常を描写したい」という目標も掲げていました。この「日常を描写する」のに映画監督が用いる常套手段の一つが「食事シーン」になります。また、協力関係企業のアイテムをスクリーンに登場させる、という意図もありました。エアリーズ号の流動食を飲むシーンに、これみよがしにパンナムのロゴがあるのはその代表例ですね。
最後の白い部屋における食事シーンですが、これはアドリブで撮影されたものです。実は当初、この白い部屋のシーンは「ボーマンが部屋をうろうろしてモノリスを発見する」としか決められていませんでした。アドリブ好きのキューブリック(クラークはこれを「行き当たりばったり」と揶揄している)は、現場で様々なアイデアを試し、その結果があのシーンになります。この白い部屋はホテルを模したものであるので、ホテルの部屋で人間がすることを考えているうちに「ルームサービスを取って食事をする」という事を思いつき、映像化したのではないかと思います。小説版では他にシャワーを浴びたり、TVを見たりしていますが、映像的に様にならなかったのか採用しませんでした。また、「ベッドの上のガウンを調査する」というシーンも検討されましたが生活臭がしすぎるためか、これもボツになっています。
あと、記事の最後にあるモノリス比「1:4:9」についてですが・・・これは当然この記事の「落ち」ですね(笑。
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※『2001年…』制作時の裏話、ボツになったストーリーが満載の「裏話暴露本」。『2001年…』のファンなら必読です。この本の管理人のレビューはこちら。