2015年3月21日土曜日

【関連記事】元ソ連の宇宙飛行士アクセレイ・レオーノフの呼吸音が『2001年宇宙の旅』に使用された?

source: KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック






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※アクセレイ・レオーノフ号が登場する映画『2010年』





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※上記の原作小説



レオーノフ飛行士宇宙遊泳50周年


 50年前の1965年3月18日、ソ連のアレクセイ・レオーノフ宇宙飛行士は、世界初の宇宙遊泳を実現させた。



〈中略〉



 昨年80歳を迎えたレオーノフ氏は今、宇宙で一番驚いたこととして、静けさを思い出す。「自分の心臓の鼓動がすごくはっきり聞こえた。自分の呼吸も。思考を阻むほどの静寂だった」。レオーノフ氏の呼吸音は記録され、地球に送信された。この音は後に、スタンリー・キューブリック監督のSF映画「2001年宇宙の旅」で使用された。



(以下引用先へ:ロシアNOW/2015年3月19日








 えっ?あの呼吸音はレオーノフの呼吸音なんですか!IMDbのトリビアページには呼吸音はキューブリック本人のものだとカタリーナが証言しているとの記述がありますが・・・あるいはその両方を使用したとか?



 一般的に考えて、予め録音されている音声素材が編集後のそのシーンにピッタリ合致するとは考えにくいし、当時のソ連の音声送信技術から考えると『2001年…』に使用された呼吸音はクリアすぎる気がします。呼吸音を再現する参考のためにキューブリックがソ連から取り寄せた、というのなら分かるのですが、レオーノフの呼吸音をそのまま映画に使用したというのはちょっと無理がある気がします。それにあの呼吸音はボーマンの心理状態を表すのに重要な役目を果たしています。それが既存の音源で賄えるなんて映画製作はもちろん、Youtubeにアップする程度でも映像編集の経験のある方なら、不可能とは言わないまでも、非常に難しい事はすぐに理解できます。ケア・デュリアが演技し、それを細かくキューブリックがチェックする、というやり方のほうが自然ですし、そちらの方がクリエイティブなコントロールをしやすい筈。キューブリックはとにかく「映画制作に関わる全ての事柄を自分の管理下に置きたがる」監督です。自分が気に入る「何か」が起こるまで何度もテイクを繰り返すのも、既存の音楽を使いたがるのも、セットはおろか小物まで口出しするのも、スタッフに家族を好んで登用するのも、全てそれが理由です。(この「全部自分でやらなきゃ気が済まない」のを「完全主義者」と呼ぶならキューブリックはそうだと言えるでしょう。)



 レオーノフは『2001年…』を観賞後「もう一度宇宙に行ったみたいだ」との感想をクラークに対して述べています。もしこの呼吸音の話が本当なら、クラークの性格からするとその場で「あの呼吸音はあなたの音ですよ」と言ってもおかしくないはず。それに続編の『2010年宇宙の旅』(映画『2010年』)で登場する宇宙船をレオーノフ号と名付けたいと申し出るなど、レオーノフとの親交は続いていたのに、こんな重要な事実を話題にしないなんて不自然すぎます。



 ググってもみましたが、ソースは見当たりませんでした。この記事の信憑性は現時点では保留にしておいた方が良さそうです。因にカタリーナの言う「キューブリックの呼吸音」も、当時彼女は子供だった事を考えると確実とは言いがたいです。ケア・デュリアやスタッフの証言があれば確実なんですけどね。ただ、撮影が終わった後の編集作業中「ここで呼吸音が欲しい」と思った際、ケア・デュリアを呼び戻すわけにはいかず、自分の呼吸音を使った可能性はあります。台詞の一音一音を繋ぎ合わせてベストテイクを作ってしまう程の凝り性のキューブリックなら、ありうる話です。