2015年7月25日土曜日

人生スイッチ

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


人生スイッチ
些細な事から最悪の事態へと転がり落ちていく人々を6つのエピソードで描くブラック・コメディ「人生スイッチ」。怒りが爆発したときのパワーがハンパない。

飛行機の中で乗り合わせた人たちは全員ある男の知り合い。レストランの傲慢な客を猫いらずで殺害しようとする女。山道でポンコツ車を罵倒したことで復讐される男の末路。理不尽なレッカー移動にブチ切れた解体職人。息子の不祥事をもみ消す富豪の父親に群がる金の亡者。結婚式で花婿の浮気を知ってブチ切れる花嫁。6つのエピソードで、日常の中にひそむ、押してはいけないスイッチを押してしまった人々の運命を描く。

アルゼンチン人監督ダミアン・ジフロンの作品は本邦初公開だが、これはかなり面白い。トンデモなく悲惨な運命をたどるエピソードはどれもブラックで、オチも上手い。この映画を見るスタンスは、他人の不幸を高みの見物よろしく、スクリーンで見ることだ。他人の不幸は蜜の味とはよく言ったものである。それにしても怒り狂ったアルゼンチン人のパワーはハンパない。やはりラテンの血がそうさせるのか。いったん怒り始めたら、善悪や被害者・加害者の区別なく、泣き寝入りなどもってのほかだ。彼らは全力でストレスと戦い、怒りによって発散させているのだ。インパクトが一番大きいのは、やはり第1話で、飛行機の中の乗客が全員一人の男と知り合いで、しかも全員が彼にヒドイことをしていた、そして…という展開には、オチも含めて思わず唸る。出演しているのは日本では無名の俳優ばかりだが、中には秀作「瞳の奥の秘密」のリカルド・ダリンの姿も。あのペドロ・アルモドバルが製作なだけあって、一筋縄ではいかない過激かつ驚愕のオムニバス映画だ。
【70点】
(原題「WILD TALES」)
(アルゼンチン・スペイン/ダミアン・ジフロン監督/リカルド・ダリン、リタ・コルテセ、ダリオ・グランディネッティ、他)
(暴走度:★★★★★)
チケットぴあ

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