2015年8月12日水曜日

奇跡の2000マイル

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


奇跡の2000マイル
(ショートバージョン)
24歳の女性ロビンは、うまくいかない人生と決別するため、オーストラリア西部の砂漠を単独で横断し、インド洋を目標に旅に出る。荷物を積むためのラクダ4頭と愛犬一匹を連れて徒歩でいくという無謀な旅だ。大自然の中、ロビンは7ヶ月もの間、貴重な出会いと経験を積み重ねていく…。

1977年にオーストラリア西部の3,000キロに及ぶ砂漠を単独横断した実在の女性ロビン・デビッドソンの回顧録を原作とした「奇跡の2000マイル」。原題の「TRACKS」とは轍(わだち)の意味で、自分が通ってきた道は、そのまま生きる道程と重なっている。ラクダ牧場で調教を学び、孤独な旅に出るヒロインは、人とうまく距離を取ることはできないが、物言わぬ動物たちとは分かり合っている。冒険家だった父や自殺した母のことが時折回想シーンで登場するが、この孤独な旅は、ロビンが「自分は何者か、何のためにこんな旅をしているのか」と自問するための儀式のようだ。自然に同化しようとするかのようなロビンの姿は、どこか「イントゥ・ザ・ワイルド」の主人公を思わせる。だがロビンは、スポンサーでもあるナショナル・ジオグラフィックのカメラマンや、案内人である先住民アボリジニ、荒野で出会う人々の好意を素直に受けることで、生き伸びることに成功するのだ。日本でいえば北海道から鹿児島までに相当する砂漠の長旅は過酷ではあるがストーリーは起伏に乏しい。だがその分、圧倒的な自然の神々しさが際立った。主演のミア・ワシコウスカの熱演も鮮烈に記憶に残る。
【65点】
(原題「TRACKS」)
(オーストラリア/ジョン・カラン監督/ミア・ワシコウスカ、アダム・ドライバー、ライナー・ボック、他)
(サバイバル度:★★★★☆)
チケットぴあ

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