2015年8月27日木曜日

ボヴァリー夫人とパン屋

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


Ost: Gemma Bovery
(ショートバージョン)
フランスのノルマンディー地方でパン屋を営むマルタンは、平和だが単調な日々の中、文学だけを心の拠り所に暮らしている。特にノルマンディー地方を舞台にしたフローベールの「ボヴァリー夫人」を愛読していた。そんなある日、隣の農場に英国人のチャーリーとジェマ・ボヴァリー夫妻が引っ越してくる。マルタンは官能的なジェマに魅了されるが、彼女が夫以外の男と浮気していることを知る。ジェマが「ボヴァリー夫人」と同じ運命をたどるのではないか、と心配になったマルタンは、次第に頭の中で小説と現実が入り混じっていくが…。

文学好きのパン屋の恋の悲喜劇をコミカルに描く「ボヴァリー夫人とパン屋」は、ギュスターヴ・フローベールの名作小説「ボヴァリー夫人」をモチーフにした英国のグラフィックノベルが原作。「ボヴァリー夫人」を愛読するパン屋のおやじの妄想が炸裂する異色の官能コメディだ。顔つきだけで笑いを誘うファブリス・ルキーニの軽やかな雰囲気と、不倫に身を焦がすというよりスポーツでも楽しむようにアバンチュールに精を出すジェマ・アータートンの健康的なお色気のおかげで、深刻さは皆無。自分が焼いたパンをおいしそうに食べてくれるジェマが、ボヴァリー夫人のような悲劇に見舞われないようにと、余計なお世話を焼けば焼くほど、事態はややこしいことになるのが可笑しい。さらにジェマの天然のお色気がマルタンの妄想に拍車をかけるからたまらない。文学好きといえば聞こえはいいが、主人公がやっていることはアニメキャラに萌えるオタクのストーカー行為に近いのだ。ネタバレは避けるが、ラストまで、ちょっとした文学的いたずらが効いている。仏文学から露文学まで、不倫ものは世界中に山ほどあるのだから、今後も大いに妄想してほしいものだ。
【60点】
(原題「GEMMA BOVERY」)
(フランス/アンヌ・フォンテーヌ監督/ファブリス・ルキーニ、ジェマ・アータートン、ジェイソン・フレミング、他)
(艶笑度:★★★★☆)
チケットぴあ

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