2015年9月29日火曜日

ポプラの秋

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


ポプラの秋 (新潮文庫)
(ショートバージョン)
8歳の千秋は、父が死んで失意の母親と共に、とある町にたどり着く。1本のポプラの大木があるポプラ荘という名のアパートに入居し暮らしはじめるが、そのアパートの大家さんは「自分は亡くなった人へ手紙を届ける郵便屋だ」と千秋にそっと告げる。千秋は大好きだった亡き父に手紙を書き続けるが…。

湯本香樹実の小説を実写化した「ポプラの秋」は、思い出をたどる物語だ。古いアパート、ちょっと変わったおばあさん、アパートに集う優しい人々、そして何より風情のある街並が、この作品をファンタジックな香りで包んでいる。物語は、天国に手紙を届けるというおばあさんの言葉を信じてずっと亡き父に手紙を書き続けた主人公・千秋が、大人になって再び昔住んでいたアパートを訪ねるところから始まる。父の死には実は悲しい秘密があるが、それが分かるのは終盤近くだ。ストーリーは、全体的にゆったりしているので、少々退屈に感じることも。少女とおばあさんの距離感が絶妙で、馴れ馴れしくないところは好感が持てるが、互いの背景を深く語ることがないのであまり共感は得られない。それでも、決して単純なハッピーエンドとは言い難いこの映画を“なんだかイイ話”にしているのは、ロケ地となった飛騨高山の風景の美しさ。TVドラマで活躍する子役の本田望結ちゃんの可愛らしさも。映画としての物足りなさは感じるが、さらりとした思い出のスケッチのように味わいたい。
【55点】
(原題「ポプラの秋」)
(日本/大森研一監督/本田望結、中村玉緒、大塚寧々、他)
(不思議度:★★★★☆)
チケットぴあ

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