2016年4月13日水曜日

バベットの晩餐会

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


バベットの晩餐会 HDニューマスター [DVD]
デンマークの国民的作家カレン・ブリクセン原作の小説を映画化したヒューマン・ドラマ。19世紀のデンマークの寒村を舞台に、初老の姉妹と彼女たちに使えるメイドで元料理人の女性との絆を描く。

19世紀後半のデンマーク。小さな漁村で、質素、品行方正を守って暮らす老姉妹がいた。若い頃には、美しい2人には、それぞれ求婚者もいたのだが、厳格なプロテスタントの牧師だった父の遺志を継いで、独身を守って仕事を続けていた。そんな2人の元へ、パリ・コミューンの動乱で家族も仕事も失ったフランス人女性バベットが、命からがらやってくる。メイドとして働くようになった彼女は、献身的できめ細かな仕事ぶりで姉妹に仕え、村に溶け込んでいった。14年の月日が流れたある日、バベットはパリに住む友人からいつも買ってもらっていた宝くじが大当たりする。一方、姉妹は、村人やゲストを招き、父の生誕百周年を祝う晩餐会を催すことに。バベットは「晩餐会の料理をすべて私に作らせてください」と頼む。やがてバベットが作る豪華な料理による晩餐会が始まった…。

大量の高級食材、ワイン、食器、調理器具、給仕する少年までをパリから調達し、バベットは腕によりをかけてフランス料理のフルコースを作り始める。実は彼女は、パリの高級レストラン「カフェ・アングレ」の天才的な女性シェフだったのだ。

バベットが作ったフルコースのフランス料理と飲み物を、以下に紹介してみよう。
公式サイトより

1. 海亀のスープ
アペリティフ:アモンティリャード(シェリー酒)
2. ロシア産キャビアのドミドフ風(キャビアとサワークリームの載ったパンケーキ)
シャンパン:ヴーヴ・グリコの1860年物
3. ウズラのフォアグラ詰め 石棺風パイケース入り ソースペリグルディ―ヌ(黒トリュフのソース)
赤ワイン:クロ・ヴージョの1845年物
4. 季節の野菜サラダ
5. チーズの盛り合わせ(カンタル、フルダンベール、フルーオーベルジュ)
6. ババのラム酒風味(焼き菓子、クグロフ型のサヴァラン)
7. フルーツの盛り合わせ(マスカットなど)
8. コーヒー
9. コニャック( ディジェスティフ:フィーヌ・シャンパーニュ)

近頃、集会でも口争いやいさかいが絶えず、人間関係がギスギスしていた村人たちが、バベットの極上の料理を食べて、みるみる幸福感に満ち溢れる様が素晴らしい。まさに「おいしい食事は人を幸せにする」を絵に書いたようなシーンだ。ゲストの一人で、パリで暮らしたことがある食通の将軍が、ただ一人、バベットが作る料理の価値が分かり、彼がひとつひとつ解説しながら感激にひたるという演出によって、観客に分かりやすく説明するという構成が非常にうまい。

晩餐会が終わり帰宅する頃には、村人は再び神の恵みを感じながら優しい気持ちになる。一方、姉妹は、宝くじに当たって大金を手にしたバベットはてっきりパリに戻ると思っていたが、バベットから「すべて料理に使ったので、お金は残っていない」と聞いて驚く。質素ながら工夫しておいしい食事を提供してきたバベットだが、一流のシェフとして、思う存分、自分の料理の腕を振るう場がほしかったのだ。だからこそ姉妹から「一生、貧しいままでいいの?」と聞かれて、きっぱりと言うのである「貧しい芸術家はいません」と。この潔さ!この自信!

地味な北欧の映画とあなどることなかれ。素晴らしい料理と、人間が生きる意味を教えてくれる秀作だ。

(出演:ステファーヌ・オードラン、ビアギッテ・フェザースピール、ボディル・キェア、他)
(1987年/デンマーク/ガブリエル・アクセル監督/原題「 YEBISU GARDEN CINEMA」)


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