2016年6月14日火曜日

サブイボマスク

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


小説版 サブイボマスク (集英社文庫)
寂れた故郷の町を何とか元気にしたいと願う春雄は、覆面レスラーだった亡き父のマスクをかぶり、サブイボマスクと名乗って、生まれ育った商店街でライブ活動を始める。そんな春雄を応援するのは、幼なじみで自閉症の権助だけだった。春雄の元カノでバツイチのシングルマザーの雪は、熱血バカの春雄にあきれながらも、ネットに動画を配信することで応援する。やがて春雄の歌は評判を呼び、商店街は活気付くが、新たな問題が起こり始める…。

消滅可能性都市に認定された故郷の町を救うため、歌うことで町おこしをする青年の奮闘を描く「サブイボマスク」。タイトルのサブイボとは鳥肌のことを指すが、ウザい、サムい、空気読めないと3拍子揃った主人公は、まるで絶滅危惧種である。心のトリハダを呼び覚ます謎のシンガー、サブイボマスクとして歌う春雄の歌は、あまりにもあつくるしく、まっすぐすぎるメッセージソングで、時代錯誤そのものだ。だがそれがネットで逆に評判になり、サブイボ見たさに商店街に人が集まり始める。しかし、町おこしとはそう単純ではない。人気が出た春雄は調子にのりはじめ、マナーの悪い客が迷惑をかけ、謎の放火事件まで起こってしまう。そうなるとたちまち春雄に非難が集まってしまうのだ。熱しやすく冷めやすく、ことなかれ主義の日本人気質、一過性のイベントや活動の難しさ、ネットでの情報拡散の危うさが如実に表れている。それでも、春雄は、何があっても「笑えば明日がやってくる」「感動のトリハダはサイコー!」と歌い続けるのだ。シャッター商店街に象徴される寂れゆく町は日本中どこにでもあり、若者離れや就職難など、問題もほぼ共通だろう。本作は大分県でロケされていて、映画も町おこしのツールになると訴えているように思える。古臭い物語に、演技力に問題ありの主演俳優と、もともと訴求力に欠ける作品だが、本作公開前に発覚したファンキー加藤のスキャンダル、アモーレこと平愛梨の熱愛報道といった、映画外の話題の方が評判を呼んでしまったのがあまりに残念だった。
【40点】
(原題「サブイボマスク」)
(日本/門馬直人監督/ファンキー加藤、小池徹平、平愛梨、他)
(町おこし度:★★★★☆)
チケットぴあ

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