2018年12月23日日曜日

【関連記事】UHDブルーレイ『2001年宇宙の旅』の衝撃(前篇・後篇)

source: KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック


2001_UHD_REBD2018年12月19日に発売になった4K UHDとリマスターBD。

 “もしもその題材が文章化、あるいは思考化できるのなら、映画化も可能だ”

 こう語った巨匠スタンリー・キューブリックが、SF作家アーサー・C・クラークとともに創案を練り上げたストーリーを映画化、自らの言葉を実証してみせたのが『2001年宇宙の旅』だ。その映画史に燦然と輝く偉大なる名作が、いよいよUHDブルーレイでリリース、圧倒的なビジュアルとともに家庭劇場を染め尽くすことになった。

 本作はスーパーパナビジョン70方式(後述)で撮影。65mmオリジナルネガを8K解像度でスキャニング。4K解像度によるレストアとカラーグレーディング。HDR10とドルビービジョンによるHDRグレーディング。1968年公開/オリジナル6トラック音源の追加。もちろん同時リリースのブルーレイも同じマスターを使用したリマスター版となっており、最新ディスク・スペックがシネフィルの興味を強くそそるに違いない。そしてこれまで数々リリースされてきたパッケージ・ソフトとも異なる(HD放送も同様)、はるかに進化した購入必至の仕上がりとなっている。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:Stereo Sound Online/前篇:2018年12月14日後篇:2018年12月19日



 この記事によると2007年発売のBDはネガからではなく、インターポジから2Kスキャンしたものだそうです。となると、その前のリマスターDVDやLD時も同様の方法が採られた可能性が高いですね。つまり、

(1)1998年初版DVD(LDデータの流用?)
(2)2001年リマスターDVD向けにスキャン
(3)2007年BD向けに2Kスキャン
(4)2018年リマスターBD、4KUHD、iTunes4K、8KOA向けに8Kスキャン

の計4回デジタルスキャンされ、ここで記事にしたその内の(2)、(3)はボーマン宇宙遊泳シーンのワイヤーを消した、ということになります。

 記事を読み限り、今回はかなり厳密に作業しているようですし、例によってレオン・ヴィタリも参加(レオンがキューブリック作品に参加したのは『バリー・リンドン』以降なので、この人選には疑問があります)しているそうです。ということは「見落とした」とは考えづらく、おそらく「オリジナルを忠実に再現し、傷などの修正以外はいっさい手を加えない」という方針が徹底された結果なのでしょう。

 以前ここで記事にした宇宙ステーションの椅子(ジンチェア)の色の話題もありますが、カタリーナの証言によると、色は「フクシア色(マゼンタより幾分パープル色素が強い色)」だったそうです。しかし、残された写真は赤にしか見えません。撮影された環境によってこうも色が変わるものかと驚くばかりです。

djinn_4どう見ても赤にしか見えませんが、写っている本人(写真左のカタリーナ)がそう言うのだから信じるしかないでしょう。

 宇宙遊泳シーンのワイヤーの影の件に話を戻すと、管理人がこの事実に気がついたのは70mm上映の時でした。帰宅してすぐ手持ちの初版DVD、リマスターDVD、BDを確認したところ、あり、なし、なしの結果でした。その後のIMAX上映では影はなく、NHKの8Kオンエアでは影があったことを確認しています。4K UHDやリマスターBDでも確認したかったのですが、発売延期のトラブルで入手が遅れてしまい、「ひょっとしたらこの件はHiViの特集で何らかの言及があるかも」と思っていましたが、特に指摘はありませんでした。ですので記事にして公開した、という経緯になります。

 おそらく多くの『2001年…』ファンはリマスターDVDかBD、もしくそのBDを流用した衛星放送のOAやネット配信を観ていたはずです。しかし、これらのソースではワイヤーの影は消されていました。それ以前のLDやVHSの時代だとブラウン菅ですので、解像度が悪くて影に気がつきにくかったでしょうから、ほとんど誰も気がつかなかったのも無理ありません。映像の高解像度化は喜ぶべきことですが、このように撮影の粗も見えてしまうというデメリットもあります。キューブリック本人も、こんな未来が待ち受けているとは予想だにしていなかったでしょう。管理人としても粗探しは本意ではありませんし、もっと内容に目を向けるべきだとは思いますが、さんざん消費し尽くされた『2001年…』で、こういった「新たな発見(たとえ粗でも)」あるというのは、なんだか楽しい気分になるのも事実です(笑。もしかするとこういった粗探しに不快感を覚えるファンの方もいらっしゃるかもしれませんが、今更言うまでもなく『2001年…』の評価はこの程度の粗で揺らぐものではありません。ですので、「作品の楽しみ方」はそれぞれの鑑賞者の方におまかせしてもいいのではないか、と思っています。