source: KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック

ラッシュ(ビデオ)を観て笑うキューブリックとダニー。当時の規約で監督は子役との接触を制限され、撮影は年40時間、午後4時にはセットを退出しなければならなかった。
〈前略〉
更に、6歳にして『シャイニング』でスクリーンデビューした子役、ダニー・ロイドが当時の様子をインタビューで答えており、43歳になった現在の写真も解禁! (現在は46歳)また本作の日本公開にあたり、今では俳優を引退しイリノイ州で教師の職に就いているダニー・ロイド本人よりコメントが到着している。
「演技はもうしていなかったので、学校では『シャイニング』については触れずに過ごし、そのまま大人になりました。近年『キューブリックに魅せられた男』に出演し、レオン・ヴィターリの物語を語る上で小さな役割を果たせたこと、とても光栄に思っています。レオンは私の演技コーチであり、撮影現場における一の親友でした。ダニー・トランスを演じる幼い少年を探す役目を担い、イリノイ州にいた私を見出してくれたのも彼です。彼は映画の撮影中、私の家族でした。レオンの映画制作に対する多大な努力と献身が、トニー・ジエラ監督の『キューブリックに魅せられた男』によって明らかになったことをとても嬉しく思っており、皆さんにもこの作品を私と同じように楽しんでいただけるといいなと願っています。ありがとう。」
ダン・ロイド
(全文はリンク先へ:Qetic/2019年9月20日)
『シャイニング』でダニーを演じたダン(ダニー)・ロイド氏ですが、度々インタビューなどで語っている通り、キューブリックは当時まだ5~6歳だったロイド氏に怖い思いをさせないよう、細心の注意を払っていました。しかし、トラブルもあったようで、斧を持って狂気の形相をするジャック・ニコルソンを目撃してしまい、ニコルソンはとっさにおどけて誤魔化したそうです。そんな努力もあってか、ティーンエイジャーになって初めて『シャイニング』をビデオで観て、実はホラー映画だったことを知ったそうですが、そのときまでホームドラマを撮影していたと信じて疑わなかったと語っています。
この一連のエピソードを以ってキューブリックは子供には優しいと評する向きもありますが(実際に子供と動物には優しかった)、やはり映画制作現場での最高責任者としての判断もあったかと思います。たった5歳くらいの子供はちょっとの心的ストレスで「イヤイヤ」を始めてしまいます。もしそうなれば撮影は滞ってしまい、時間を無駄にしたくないキューブリックにとって、それは是が非でも避けなければなりません。その証拠にキューブリックはダニー・ロイドの代役を三人も用意しています。キューブリックはあらゆる事態を想定して準備を怠らない監督でした(もちろんそれでも突発的な事態は起こりました。例えば火事とか)。
ダン・ロイド氏にとって『シャイニング』の撮影はキューブリックよりも、レオン・ヴィタリとの思い出が多いようです。レオンはこの『シャイニング』での仕事ぶりを評価され、ありとあらゆる雑用(だが重要な仕事)を任されるようになりました。それによってレオンは疲弊してしまうのですが、それ以上に疲弊していたのは当のキューブリックでした。それは『キューブリックに愛された男』でパーソナルアシスタント兼運転手の、エミリオ・ダレッサンドロが証言しています。
『キューブリックに愛された男』『キューブリックに魅せられた男』。この2本のドキュメンタリーは、キューブリックに人生を捧げた2人の男の激烈な物語です。ですが、それ以上激烈に「映画に人生を捧げた」のがキューブリックだということがよくわかるドキュメンタリーでもあります。ぜひ劇場に足を運んで、それをその目でお確かめください。