2015年3月17日火曜日

イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評








エニグマ解読に挑んだ天才数学者の苦悩を描く「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」。3つの時代が同時進行する脚本が緻密で見事。



1939年、第二次世界大戦下のイギリス。若き天才数学者アラン・チューリングは難攻不落と言われたドイツ軍の暗号“エニグマ”の解読チームに加わる。高慢で不器用なチューリングは、天才ゆえに皆から孤立しながら作業に没頭していた。だがクロスワードパズルの達人の女性ジョーンがチューリングの良き理解者となったことで、暗号解読チームはいつしか一丸となっていく。偶然からエニグマ解読のきっかけをつかんだ彼らだったが…。



ナチスドイツの暗号を解読し連合軍を勝利に導いた人物アラン・チューリングの映画と聞くと、その偉業を華々しく紹介した伝記映画を連想すると思うが、本作はちょっと趣が違う。エニグマ解読の過程をスリリングに描く第二次世界大戦期、他者と違う天才ゆえに孤独だった少年時代、不遇に満ちた現代(1950年代)の3つの時代をほぼ同時進行させ、チューリングの偉業よりも彼の心理に重点を置いて描いているのだ。主人公は自らを孤独な環境に置くが、心の奥底では理解者を切望している。傲慢で偏屈なチューリングは、最初は典型的な“イヤなヤツ”で、暗号解読も初めはゲーム感覚だった。しかし、次第に彼の目指すものは、戦争終結と人命を救うという崇高な目的に変化する。だからこそ、暗号を解読した後、それを最高国家機密にした政府の非情さに苦しむのだ。栄光とは無縁の偉業、救える命を切り捨てる苦悩、理解者を持たない孤独、当時は罪だった同性愛など、チューリングの人間像はあまりにも複雑で悲運というしかない。では、戦後、自ら命を絶ったチューリングはゲームの敗者なのだろうか? そうは思いたくない。彼がエニグマ解読のために作った“チューリング・マシン”こそ現代生活に不可欠なコンピューターの原型。マイノリティーの哀しみとそれでも貫いた研究への情熱を、この映画で万人が知れば、チューリングは必ずや勝者となろう。社会からはみ出した天才の本質を繊細に演じきったベネディクト・カンバーバッチの演技力に脱帽した。

【80点】

(原題「THE IMITATION GAME」)

(米・英/モルテン・ティルドゥム監督/ベネディクト・カンバーバッチ、キーラ・ナイトレイ、マシュー・グード、他)

(ストーリーテリング度:★★★★★)

チケットぴあ



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