2015年3月21日土曜日

風に立つライオン

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評








ケニアで国際医療活動に従事した医師をモデルに作られたヒューマンドラマ「風に立つライオン」。こういう真面目な良作に悪口は言えません。



1987年、医師の航一郎はアフリカ・ケニアの研究施設に国際医療ボランティアとして派遣される。それは航一郎にとって願ってもない仕事だったが、同時に離島医療に従事する恋人で女医の貴子と遠く離れることでもあった。ケニア赴任から半年後、現地の戦傷病院からの派遣要請を受けて赴くと、そこには戦争で傷ついた子供たちの悲惨な姿があった。航一郎は医師としての使命を感じ、同病院へ転籍。新任の看護師・和歌子らとともに、忙しい日々を送る中、心と体に傷を負った少年兵・ンドゥングと出会う…。



この作品は、主演の大沢たかおが、さだまさしが作詞作曲した楽曲に惚れ込み、小説化から映画化へという流れで作られたのだそうだ。曲が発表されたのが1987年だから、随分と時間がかかったが、その間、日本も経済不況や東日本大震災など、さまざまな激震を経験している。そういう意味では、人のために生きることの素晴らしさや、自分だけでは解決できない問題も人から人へとつなぐことで希望へとつながるという本作のテーマは、企画発足から長い年月を経たからこそ胸に響くのかもしれない。前向きで明るい航一郎は、アフリカ医療に尽力した医師シュバイツァーの自伝に感動し、医学の道を志したという清廉潔白な人物。ケニアでの医療に一生を捧げる決心をしている。一方、恋人の貴子もまた故郷の島で人々のために尽くすと心に決めた。医師という職業の最もピュアな情熱がそこにある。過酷な環境にいるケニアの少年たちも、離島の人々もとても純朴に描かれているが、実際に現地の人々がエキストラで出演しているというから、そのたたずまいに嘘がない。主人公の少年時代のエピソードなどがテンポを削ぐのが惜しいが、三池崇史監督が本来の尖がった毒気をいっさい封印した感動的な人間ドラマに、悪口は言いにくいし、実際に見終わった後の清々しさは本物だった。モデルとなったのは実在の医師・柴田紘一郎氏。今の日本人にこんな美徳がどれほど備わっているかはわからないが、実際にこういう人物がいてそれが映画化されるのだから希望はある。主演の大沢たかおがまっすぐな医師役を好演。ケニアでロケされた雄大な自然も素晴らしい。

【60点】

(原題「風に立つライオン」)

(日本/三池崇史監督/大沢たかお、石原さとみ、真木よう子、他)

(美徳度:★★★★☆)

チケットぴあ



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