source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
中学生たちが自ら校内裁判を開き隠された真実を暴こうとする姿を描くサスペンス「ソロモンの偽証 前篇・事件」。前篇は導入部ながらドラマも見ごたえ十分。
記録的な雪がふったクリスマスの朝、中学２年生の藤野涼子は、クラスメートの柏木卓也の遺体を発見する。屋上から転落死したと見られ学校と警察は早々と自殺と断定するが、目撃者を名乗る匿名の人物から「彼は殺された」という告発状が届く。波紋が広がる中、マスコミ報道は加熱、学校側は事件を隠ぺいしようとする。混乱する中、新たな犠牲者が出てしまう。クラス委員の涼子は、保身に走る大人たちを見限り、自分たちの手で事件を調べ“校内裁判”を開くことを決意するが…。
原作は宮部みゆきのミステリー巨編。長編のため２部作として映画化されるが、オーディションで選ばれた中学生役の若者たちの演技に圧倒される作品だ。転落死した生徒は自殺か他殺か。校内でいじめを繰り返した不良少年を犯人とした告発状の意図は。いじめ、暴力、自殺、不登校など、中学生が抱える闇と、大人の欺瞞が緻密なタッチで描かれ、同時に登場人物の背景や性格を的確に浮き彫りにした。生徒同士の関係性や、事件に至るさまざまな出来事がすべての伏線となって後篇に向かうのだが、この前篇は単なる説明調ではないところがスゴい。法的には何の効力もない“校内裁判”を開くのは、何よりも生徒たちが真実を求めてやまないからだ。さらに他校の生徒ながら、この事件と裁判に深くかかわる男子生徒の存在が、物語に複雑な要素を加味している。プロの子役ではなく、中学生の配役をすべてオーディションで選び、入念なリハーサルで芝居を練り上げた成島出監督の演出にも目を見張る。特にヒロインの藤野涼子（役名と同じ芸名でデビュー！）は、理知的で正義感が強い美少女。しかし彼女にも心の闇が…という難しい役を堂々と演じていて、久し振りに誕生した期待の大型新人という趣だ。生徒たちを脇でしっかり支える大人のキャスティングも絶妙。すべての謎を解く後篇・裁判をたっぷりと楽しむためにも、画面の細部まで目をこらして見てほしい。
記録的な雪がふったクリスマスの朝、中学２年生の藤野涼子は、クラスメートの柏木卓也の遺体を発見する。屋上から転落死したと見られ学校と警察は早々と自殺と断定するが、目撃者を名乗る匿名の人物から「彼は殺された」という告発状が届く。波紋が広がる中、マスコミ報道は加熱、学校側は事件を隠ぺいしようとする。混乱する中、新たな犠牲者が出てしまう。クラス委員の涼子は、保身に走る大人たちを見限り、自分たちの手で事件を調べ“校内裁判”を開くことを決意するが…。
原作は宮部みゆきのミステリー巨編。長編のため２部作として映画化されるが、オーディションで選ばれた中学生役の若者たちの演技に圧倒される作品だ。転落死した生徒は自殺か他殺か。校内でいじめを繰り返した不良少年を犯人とした告発状の意図は。いじめ、暴力、自殺、不登校など、中学生が抱える闇と、大人の欺瞞が緻密なタッチで描かれ、同時に登場人物の背景や性格を的確に浮き彫りにした。生徒同士の関係性や、事件に至るさまざまな出来事がすべての伏線となって後篇に向かうのだが、この前篇は単なる説明調ではないところがスゴい。法的には何の効力もない“校内裁判”を開くのは、何よりも生徒たちが真実を求めてやまないからだ。さらに他校の生徒ながら、この事件と裁判に深くかかわる男子生徒の存在が、物語に複雑な要素を加味している。プロの子役ではなく、中学生の配役をすべてオーディションで選び、入念なリハーサルで芝居を練り上げた成島出監督の演出にも目を見張る。特にヒロインの藤野涼子（役名と同じ芸名でデビュー！）は、理知的で正義感が強い美少女。しかし彼女にも心の闇が…という難しい役を堂々と演じていて、久し振りに誕生した期待の大型新人という趣だ。生徒たちを脇でしっかり支える大人のキャスティングも絶妙。すべての謎を解く後篇・裁判をたっぷりと楽しむためにも、画面の細部まで目をこらして見てほしい。
【７０点】
（原題「ソロモンの偽証 前篇・事件」）
（日本／成島出監督／藤野涼子、板垣瑞生、石井杏奈、他）
・ソロモンの偽証 前篇・事件＠ぴあ映画生活