2015年4月21日火曜日

海にかかる霧

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評




(ショートバージョン)

チョルジュ船長は、生活苦のため、愛する船を守るため、不法移民の韓国密入国を手助けする闇仕事を引き受ける。だが海上の漁船という逃げ場のない場所で、思いがけない事態が起こり、乗組員たちは次第に追いつめられていく…。

韓国映画「海にかかる霧」は、2001年に実際に起こったテチャン号事件を基にしている。実はこの映画のレビューを書く資格があるのか?と、かなり悩んだ。というのは、あまりに凄惨な場面の連打に、何度も何度もスクリーンから目をそむけてしまったのだ。とりあえず、気を取り直して書いてみることにしよう。脚本は「殺人の追憶」のポン・ジュノ監督の手によるもので、これが実に秀逸。当然ドラマは特濃だ。舞台は海の上のオンボロ漁船という“密室”で、不法労働者の密航を手助けする船長と乗組員は、逃げ場のない船の上で次第に正気を失っていく。海は大荒れ、肉体は切断され大量の血が流れる。裏切り、疑心暗鬼、色欲、狂気がある一方で、責任感や純愛もある。追いつめられると、人はいとも簡単に人間性を失うものなのだ。そんな中、新米船員を演じるパク・ユチョン(JYJのメンバー)の素朴さが救いだが、彼の、愛ゆえの狂気もまた身震いする。すべてが終わった後の後日談がまた皮肉で苦い。見終わればグッタリと疲れるが、これが韓国映画らしい力強さといえよう。
【65点】
(原題「HAEMOO」)
(韓国/シム・ソンボ監督/キム・ユンソク、パク・ユチョン、ハン・イェリ、他)
(凄惨度:★★★★★)
チケットぴあ

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