2015年4月20日月曜日

インヒアレント・ヴァイス

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評








ヒッピー探偵が元カノの依頼から事件に巻き込まれるサスペンス・ドラマ「インヒアレント・ヴァイス」。摩訶不思議な世界にトリップしたかのような後味。



70年代のロサンゼルス。マリファナ中毒の私立探偵ドックのもとに元恋人のシャスタが現われる。今は不動産業界の大富豪の愛人になっている彼女は、彼の妻の悪事を暴いてほしいと依頼する。彼女の依頼を受け調査を進めるドックだったが、殺人の濡れ衣をきせられ、いつしか巨大な陰謀に巻き込まれていく…。



原作は鬼才トマス・ピンチョンの小説「LAヴァイス」。やさぐれ探偵がワケありの美女の依頼で事件に巻き込まれるというストーリーは、いかにもハードボイルドに思えるが、この物語ときたらハードどころか全編フニャフニャしていて、さっぱり締まりがない。マリファナ中毒の探偵ドックは元カノへの未練から、きな臭い雰囲気が漂う事件に足を突っ込む。それはいいとしても、薬のせいで肝心なところでいつもドックの意識が飛んでしまう上に、登場人物(無駄と思える人物も含む)がやたらと多いので、現実と幻想があいまいなストーリーを追うのにかなり苦労する。ヒッピー・カルチャー、ドラッグ、おとり捜査に新興宗教と、何もかもが怪しげで、奇天烈なエピソードの断片が重なり合って、もはや幻惑状態だ。暴力、エロス、虚無感。これが70年代のヒッピー文化の空気なのだろうか…と、ホアキン・フェニックスのもじゃもじゃ頭を見ながらボンヤリと思っているうちにエンドロールまで来てしまった。もやもやとした夢のようなこの作品、何がいいたいのかサッパリ不明ながら、妙に後味が残る。ポール・トーマス・アンダーソン(PTA)にしては切れ味が鈍いが、混沌とした群像劇はPTAらしい。いやはや、ユニークだ。

【65点】

(原題「INHERENT VICE」)

(アメリカ/ポール・トーマス・アンダーソン監督/ホアキン・フェニックス、ジョシュ・ブローリン、オーウェン・ウィルソン、他)

(幻覚度:★★★★☆)

チケットぴあ



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