2015年4月29日水曜日

ラスト5イヤーズ

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


ラスト5イヤーズ
一組のカップルの出会いから別れまでの5年間を描くミュージカル「ラスト5イヤーズ」。時間を真逆に構成する手法がユニークで効果的。

NYで出会った女優の卵のキャシーと小説家志望のジェイミーは、激しい恋に落ち、共に夢を追いながら幸福な日々を送る。やがて二人は結婚。成功の道を駆け昇るジェイミーに対し、キャシーの夢は思うようにいかず伸び悩む。次第に二人の心はすれ違いはじめるが…。

オリジナルはトニー賞受賞歴のある音楽家ジェイソン・ロバート・ブラウンによる傑作ブロードウェー・ミュージカル。映画はほぼ原作舞台に忠実に描いている。物語はNYのアパートの一室で、恋に破れたキャシーがその悲しみを切々と歌う場面からスタートする。男女の出会いと別れというテーマは平凡だし、それぞれの側から心象を語るのもさほど珍しくはない。本作がユニークなのは、失った恋にとらわれるキャシーのパートは、現在から過去へとさかのぼり、キャシーと別れて未来へと向かうジェイミーのパートは、キャシーに恋した瞬間から彼女の元を去る破局へと向かって語られるという正反対のタイムラインをとるスタイルだ。全編が歌で構成され、セリフはほとんどない。ミュージカルが苦手な人は敬遠するかもしれないが、ドラマとしてしっかり構成されているので、心配無用だ。何と言っても主演2人の圧倒的な歌声や繊細な演技で、恋の喜びと別れの辛さが痛いほど伝わってくる。時間軸が真逆なので、キャシーとジェイミーの愛が交差するのは、結婚式の当日だけ。2人の別れを知ってみるせいか、プロポーズの場面の歌があまりにも切なく響いた。勉強不足の私は、アナ・ケンドリックは「マイレージ・マイライフ」の人という印象で、「イントゥ・ザ・ウッズ」で歌も歌えるのかと感心していたのだが、実はこの人、元々はブロードウェー出身。12歳でトニー賞候補になったというから筋金入りの実力派ミュージカル女優だったのだ。いやはや、ハリウッド・スターの才能はホントに分厚い。
【70点】
(原題「THE LAST 5 YEARS」)
(アメリカ/リチャード・ラグラヴェネーズ監督/アナ・ケンドリック、ジェレミー・ジョーダン、他)
(ユニーク度:★★★★☆)
チケットぴあ

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