2015年5月2日土曜日

フォーカス

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評




凄腕詐欺師と彼から詐欺のすべてを学んだ美人詐欺師の恋の駆け引きを描く「フォーカス」。犯罪劇としては弱いがラブロマンスとしては合格点。

ニッキーは一流の詐欺師集団をまとめあげる犯罪のプロ。そんなニッキーの前に未熟な女詐欺師ジェスが現われるがニッキーは彼女に可能性を見出し、自分のチームに迎え、詐欺のノウハウを叩きこむ。やがて二人は恋に落ちるが、恋愛は仕事の邪魔だと考えるニッキーはジェスの前から姿を消す。数年後、ブエノスアイレスで大掛かりな詐欺を仕掛けるニッキーの前に、ライバルチームに所属し見違えるほど美しく洗練されたジェスが現れる…。

フォーカスとは、視点、注意のことで、それをそらすことこそが一流の詐欺のテクニックだというのは、本作の主人公ニッキーの持論だ。なるほど、一流詐欺師のニッキーが披露する数々のテクニックは、入念な事前準備あり、心理戦あり、チームプレーありと、合理的かつ華麗なもので、犯罪と分かっていても妙に感心してしまう。しかし本作のテイストは、騙し騙されのコンゲームというより、むしろラブロマンスとしての面白さにあるようだ。ウィル・スミスといえば、正義感の強いタフなヒーローのイメージだが、意外にも恋愛映画でもいい味を出す役者である。本作では仕事と恋愛は別と割り切っていても、やっぱり計算通りにはいかない男女の心理戦が軽妙な会話で描かれる。クライマックスでは、意外な人物の意外な素顔が明らかになる騙しテクが披露されるが、最も感心させられるのは、むしろ、中盤のスーパーボール観戦で繰り広げられる入念で大胆な仕掛け。思わず、名曲「悪魔を憐れむ歌」を聴きたくなった。
【65点】
(原題「FOCUS」)
(アメリカ/グレン・フィカーラ、ジョン・レクア監督/ウィル・スミス、マーゴット・ロビー、ロドリゴ・サントロ、他)
(恋愛映画度:★★★★☆)
チケットぴあ

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