source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
(ショートバージョン)
文字を持たないロマ(ジプシー)の一族に生まれたパプーシャ。幼い頃から言葉や文字に惹かれた彼女は、文学の才能を開花させる。やがてパプーシャは、ジプシー女性初の詩人になるが…。
ポーランドに実在したロマの女性詩人でパプーシャことブロニスワヴァ・ヴァイスの半生を描いたポーランド映画「パプーシャの黒い瞳」は、美しく陰影のあるモノクロ映像が印象的な作品だ。だが物語は時制が錯綜する上に、説明的な描写も少なく、かなり分かりにくい。パプーシャは自分の詩を、詩人イェジ・フィツォフスキに褒められるが、彼女には詩を作っている自覚はほとんどなかった。イェジがパプーシャの詩を出版し、ジプシーに関する叙述を世間に公表したことで、ロマに関する秘密を暴露したとして同胞から裏切り者として追放されてしまう。国家やナチスから迫害を受け、さらに同胞からも憎まれるとは。「読み書きさえ覚えなければ、幸せだった」と嘆くパプーシャがあまりに哀しいが、それでも彼女の詩はたくましい大地の生命力を思わせ、魅力がある。黒が強い静謐な映像が、パプーシャの詩や人生と重なるようで、引き込まれた。哀愁漂う音楽も美しい。
ポーランドに実在したロマの女性詩人でパプーシャことブロニスワヴァ・ヴァイスの半生を描いたポーランド映画「パプーシャの黒い瞳」は、美しく陰影のあるモノクロ映像が印象的な作品だ。だが物語は時制が錯綜する上に、説明的な描写も少なく、かなり分かりにくい。パプーシャは自分の詩を、詩人イェジ・フィツォフスキに褒められるが、彼女には詩を作っている自覚はほとんどなかった。イェジがパプーシャの詩を出版し、ジプシーに関する叙述を世間に公表したことで、ロマに関する秘密を暴露したとして同胞から裏切り者として追放されてしまう。国家やナチスから迫害を受け、さらに同胞からも憎まれるとは。「読み書きさえ覚えなければ、幸せだった」と嘆くパプーシャがあまりに哀しいが、それでも彼女の詩はたくましい大地の生命力を思わせ、魅力がある。黒が強い静謐な映像が、パプーシャの詩や人生と重なるようで、引き込まれた。哀愁漂う音楽も美しい。
【65点】
(原題「Papusza」)
(ポーランド/ヨアンナ・コス=クラウゼ、クシシュトフ・クラウゼ監督/ヨヴィタ・ブドニク、ズビグニェフ・ヴァレリシ、アントニ・パヴリツキ、他)