2015年5月16日土曜日

駆込み女と駆出し男

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


駆込み女と駆出し男 -メインテーマ-
駆込み寺に集うワケ有の女たちと離婚調停人の男のユニークなやりとりを描く時代劇「駆込み女と駆出し男」。粋な美女・お吟の秘めた真意にグッとくる。

幕府公認の駆込み寺・東慶寺。医者見習いで戯作者志望の信次郎は、御用宿で女たちから聞き取り調査を行う離婚調停人を始めたばかり。夫の暴力から逃げてきた鉄練り女・じょごや、豪商の妾のお吟ら、ワケ有りの女たちの複雑な事情を調査し、様々なトラブルに巻き込まれながらも、彼女たちの新たな出発の手助けをしていく…。

原作は劇作家・井上ひさしが11年をかけて執筆し晩年に発表した時代小説「東慶寺花だより」。江戸時代の離婚事情を詳細に描く物語は、思わず「へぇ~」を連発するほど面白い事実ばかり。幕府公認の駆込み寺・縁切り寺の存在は知っていたが、御用宿での聞き取り調査、夫との示談、その後の2年間の尼寺生活の後、晴れて離婚成立というシステムだったとは初めて知った。主人公の信次郎は、医者も見習い、戯作者には「なりたい」と望んでいるだけ、離縁調停人も始めたばかり。まさしく“駆出し男”の彼は頼りないように見えるが、根っからの正義感で人情に厚い。初心者ならではの感性と口八丁でトラブルを解決し、女たちの人生をリセットしていく様は、痛快だ。離婚というと、今も昔もネガティブなイメージだが、本作では男尊女卑の時代に生きる、意外なほどタフな女性たちの再出発の後押しをするというスタンスが、清々しい。冒頭から長いセリフの応酬で、いかにも演劇風なのが最初は鼻についたが、大泉洋をはじめ、ワケ有り女を演じる戸田恵梨香、満島ひかりらの熱演にいつしか魅了され、143分はあっという間にすぎていった。
【65点】
(原題「駆込み女と駆出し男」)
(日本/原田眞人監督/大泉洋、戸田恵梨香、満島ひかり、他)
(ポジティブ度:★★★★☆)
チケットぴあ

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