source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
(ショートバージョン)
19世紀末、フランス・ポアティエにあるラルネイ聖母学院では、聾・盲の少女たちを受け入れていた。そこに、先天的に目と耳に障害を持つ14歳の少女マリーがやってくる。修道女のマルグリットは、まるで野生動物のようなマリーを見て驚くが、マリーの魂と強く共鳴し、教育係を買って出る。2人の戦いの日々の果てについに言葉を理解する瞬間がやってくるが…。
生まれつき耳も目も不自由な少女と彼女の教育に身を捧げたシスターの実話を描く「奇跡のひと マリーとマルグリット」。マリーは、14年間一切の教育を受けず、獰猛な野生動物のようだ。修道女のマルグリットが困難な役目を自ら買って出たのは、彼女を導くのが神から与えられた自分の使命だと確信したから。“神のため”というモチベーションは、正直ちょっと苦手なのだが、それでもマリーがついにひとつの言葉を理解する瞬間は感動的だ。その後、乾いた大地が水を吸収するかのように、手話で言葉を覚えていく様は、まさに奇跡のようである。最も印象に残るのは、元来身体が弱いマルグリットが、残された時間が少ない中、さまざまな言葉を覚えたマリーに“死”の意味を教える場面だ。死をすべての人間に訪れる宿命。ここでは障害があるものもそうでないものも同等なのだ。マリーを演じるアリアナ・リヴォワールは、自身も聴覚に障害を持つ女性だそう。言葉を知って世界が無限に広がる喜びの表情が素晴らしい。
生まれつき耳も目も不自由な少女と彼女の教育に身を捧げたシスターの実話を描く「奇跡のひと マリーとマルグリット」。マリーは、14年間一切の教育を受けず、獰猛な野生動物のようだ。修道女のマルグリットが困難な役目を自ら買って出たのは、彼女を導くのが神から与えられた自分の使命だと確信したから。“神のため”というモチベーションは、正直ちょっと苦手なのだが、それでもマリーがついにひとつの言葉を理解する瞬間は感動的だ。その後、乾いた大地が水を吸収するかのように、手話で言葉を覚えていく様は、まさに奇跡のようである。最も印象に残るのは、元来身体が弱いマルグリットが、残された時間が少ない中、さまざまな言葉を覚えたマリーに“死”の意味を教える場面だ。死をすべての人間に訪れる宿命。ここでは障害があるものもそうでないものも同等なのだ。マリーを演じるアリアナ・リヴォワールは、自身も聴覚に障害を持つ女性だそう。言葉を知って世界が無限に広がる喜びの表情が素晴らしい。
【60点】
(原題「MARIE'S STORY」)
(フランス/ジャン=ピエール・アメリス監督/イザベル・カレ、アリアナ・リヴォワール、ブリジット・カティヨン、他)
・奇跡のひと マリーとマルグリット@ぴあ映画生活