2015年6月22日月曜日

極道大戦争

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評




最強のヤクザ・ヴァンパイアになった男の死闘を描く「極道大戦争」。徹底した破綻が異様な熱気を生む珍作。

敏感肌のため刺青も入れられない下っ端ヤクザの影山は、街の人々にも慕われ、不死身とも噂される伝説のヤクザ・神浦に憧れて彼の舎弟となる。だが謎の刺客に襲われた神浦は壮絶な闘いの果てに八つ裂きにされてしまう。駆けつけた影山の首筋に神浦が噛みつき「わが血を受け継いでヤクザ・ヴァンパイアの道を行け!」と言い残す。驚異的な能力と闘争心を受け継いだ影山には、壮絶な抗争が待ち受けていた…。

三池崇史監督といえば、ホラー、アクション、コメディ、バイオレンスから感動作まで、ふり幅が広いことで知られるが、本作はすべてのジャンルを放り込んだ寄せ鍋状態の異色作だ。タイトルに極道とあるが、ヤクザはほんの入口。噛みつかれてヤクザ化するヴァンパイアというゾンビものとヴァンパイアものを足して2で割ったような流れになるが、その後、物語は激しく蛇行。無駄に本格的なアクション映画になり、ついには怪獣(KAERUくん、見た目はユルキャラ風だが超・凶暴)映画になっていく。昨今、Vシネマだってもう少し常識的なストーリーなのに、これほどカオスな映画にお目にかかろうとは。思えばかのクエンティン・タランティーノにも影響を与えた三池監督、ハジケだしたら止まらないのだ。無敵のパワーを身につけヤクザ・ヴァンパイアとして覚醒した影山の前にあらわれる刺客を演じているのは「ザ・レイド」で超絶アクションを披露したヤヤン・ルヒアン。彼とかなり互角に渡り合う市原隼人の肉体改造も見逃せない。この物語の結末は、文字通り先読み不能だ。とりあえず、個人的にはオカルト・ファンタジーにカテゴライズして落とし前をつけてみた。まさかのカンヌ正式招待作である。
【55点】
(原題「極道大戦争/YAKUZA APOCALYPSE」)
(日本/三池崇史監督/市原隼人、成海璃子、リリー・フランキー、他)
(カオス度:★★★★☆)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)
極道大戦争@ぴあ映画生活