2015年6月3日水曜日

グッド・ストライプス

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評




マンネリ気味のカップルが結婚を決めたことで相手のルーツを知っていく「グッド・ストライプス」。いまどきの結婚事情を描きながら地味な人生をやんわりと肯定している。

ともに28歳の緑と真生は、つきあって4年のカップル。マンネリ状態で、お互いに別れも意識していた矢先、緑の妊娠が発覚する。行きがかり上、結婚することを決めるが、生まれも育ちもこだわりも全く違う2人は、一緒に住むことになっても揉め事が絶えない。それでも、結婚の準備を勧める過程で、今まで知らなかったお互いのルールを知るようになる…。

すべてが“なんとなく”進むこのロマンスは、ロマンスと呼べないほど地味なのだが、それがリアルというものかもしれない。緑は自由奔放な文科系女子で大雑把、真生は優柔不断なおぼっちゃまで神経質。正反対の2人がどうして惹かれ合い付き合い始めたのかが気になるが、それは本作の主流ではない。できちゃった結婚も流れで決めたような2人は、これまた流れで互いの両親にあいさつに行く。音楽を目指してあきらめた緑のユルい挫折感、長らく疎遠だった真生と父との再会のぎこちなさなど、特別でないことがこの主人公たちのスタンスなのだ。結婚を決めるまでの出来事の中で、互いの過去や出自を知り、たいしたドラマが起こらない人生と空気のようにそばにいる人のありがたさを感じて、静かな共感を呼ぶ。タイトルは「素晴らしき平行線」の意味。相手に合わせるのではなくお互いの差異を認め合い共存するということだろう。菊池亜希子と中島歩がW主演だが、この2人を起用する岨手由貴子監督のセンスが光る小品だ。
【50点】
(原題「グッド・ストライプス」)
(日本/岨手由貴子監督/菊池亜希子、中島歩、臼田あさ美、他)
(ロマンス度:★★★☆☆)
チケットぴあ

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グッド・ストライプス@ぴあ映画生活