2015年7月1日水曜日

ラブ&ピース

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


ラブ&ピース
さえないサラリーマンが一匹のミドリガメと出会い運命を激変させていく異色作「ラブ&ピース」。園監督初の特撮もので、奇想天外な展開に唖然。

サラリーマンの良一はロックミュージシャンになる夢をあきらめ、ぱっとしない毎日を送っている。同僚の裕子に好意を持っているが話しかけることもできない。ある日、デパートの屋上で1匹のミドリガメと目が合い、運命的なものを感じて「ピカドン」と名付けて可愛がるが、会社でバカにされてしまい、ついトイレに流してしまう。良一は後悔するが、ピカドンは下水道を通って地下に住む謎の老人のもとにたどり着く。そこは不思議な地下世界だった…。

ちょっと働きすぎじゃね?!というくらい公開作が連続している園子温監督だが、本作は、久し振りの完全オリジナル作品だ。無名時代(25年前!)に書き下ろした脚本がついに形になったというのだが、これがなんと特撮怪獣モノなのである。うだつの上がらない主人公・良一は、不思議なミドリガメと出会ったことから、運命が転がり始め、ひょんなことからロックスターとしてスターダムに駆け昇り、自分を見失っていく。一方で、ミドリガメのピカドンがいる地下世界は、人間に見捨てられたおもちゃや人形たちが暮らす摩訶不思議な世界だ。巨大化するミドリガメ怪獣は良一の肥大した自我、ピカドンと良一の同僚・裕子は無償の愛。メタファーであることは明白なのだが、怪獣ものとして描写されるストーリーは、正直ノレなかった。むしろ、地下世界に住むおもちゃたちが、どこまでも人間を信じていて希望を失っていない姿こそ涙ものである。そんな中でも人間の冷淡さを知りながら仲間を応援する猫のスネ公にはジンとくる。笑えて泣けて最後に感動…と言いたいところだが、特撮怪獣モノのノリにのれなければ、最後まで置いてけぼりなので、要注意だ。
【50点】
(原題「ラブ&ピース」)
(日本/園子温監督/長谷川博己、麻生久美子、渋川清彦、他)
(ファンタジー度:★★★★☆)
チケットぴあ

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