source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
(ショートバージョン)
ニューヨークで活躍する人気書評家ウェンディは、長年連れ添った夫から突如別れを切りだされる。人生のドン底に突き落とされたウェンディは「車の運転さえできない」状況を解決しようと、偶然知り合ったインド人運転手ダルワーンから運転を習うことになるが…。
性別も人種も宗教も異なる男女が、車の運転を通して自分をみつめ直し再生していくヒューマンドラマ「しあわせへのまわり道」。監督のイサベル・コイシェはシリアスな状況を、さらりと描くさりげなさが持ち味で、それは本作でも踏襲されている。原作はニューヨーカー誌に掲載されたキャサ・ポリットのエッセイで、作者の実体験に基づいているそうだ。ウェンディはNYのセレブの白人女性、ダルワーンはアメリカに政治亡命してきたインド人でシク教徒。ほとんど共通項がない2人は、互いに問題を抱えているが、運転という“儀式”が2人にそれぞれの人生をみつめる機会を与えている。すべてを見渡し、標識(サイン)見落とさず、周囲の人々に気を配り、先を予測する。人生を運転に例える演出はありがちだが、いちいち納得してしまうことばかりだ。特にダルワーンの「運転は平常心が大切。プライベートでどんなことがあってもそれを路上に持ち込むな」の言葉には深く頷いてしまった。熟年の男女は心を通わせ、うっすらと愛情も芽生えるが、安易な恋愛にもっていかず、大人の友情物語にしているところが粋でいい。パトリシア・クラークソンとベン・キングズレーという芸達者なベテランのキャスティングも効いている。落ち着いて自分を見つめ前進するウェンディの成長もいいが、複雑な背景を抱えているであろうダルワーンの様々な色のターバンが彼の心情と重なるようで味わい深い。年齢を重ねた大人の自分探しを応援するドラマだ。
性別も人種も宗教も異なる男女が、車の運転を通して自分をみつめ直し再生していくヒューマンドラマ「しあわせへのまわり道」。監督のイサベル・コイシェはシリアスな状況を、さらりと描くさりげなさが持ち味で、それは本作でも踏襲されている。原作はニューヨーカー誌に掲載されたキャサ・ポリットのエッセイで、作者の実体験に基づいているそうだ。ウェンディはNYのセレブの白人女性、ダルワーンはアメリカに政治亡命してきたインド人でシク教徒。ほとんど共通項がない2人は、互いに問題を抱えているが、運転という“儀式”が2人にそれぞれの人生をみつめる機会を与えている。すべてを見渡し、標識(サイン)見落とさず、周囲の人々に気を配り、先を予測する。人生を運転に例える演出はありがちだが、いちいち納得してしまうことばかりだ。特にダルワーンの「運転は平常心が大切。プライベートでどんなことがあってもそれを路上に持ち込むな」の言葉には深く頷いてしまった。熟年の男女は心を通わせ、うっすらと愛情も芽生えるが、安易な恋愛にもっていかず、大人の友情物語にしているところが粋でいい。パトリシア・クラークソンとベン・キングズレーという芸達者なベテランのキャスティングも効いている。落ち着いて自分を見つめ前進するウェンディの成長もいいが、複雑な背景を抱えているであろうダルワーンの様々な色のターバンが彼の心情と重なるようで味わい深い。年齢を重ねた大人の自分探しを応援するドラマだ。
【70点】
(原題「LEARNING TO DRIVE」)
(アメリカ/イサベル・コイシェ監督/パトリシア・クラークソン、ベン・キングズレー、グレース・ガマー、他)
(大人の友情度:★★★★☆)
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