source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
(ショートバージョン)
成瀬順は、幼い頃に何気なく発した言葉によって両親が離婚し、それ以来、トラウマを抱え心を閉ざして生きている。突然現れた“玉子の妖精”によって、二度と人を傷つけないようにおしゃべりを封印されてしまったのだ。そんな順は、高校で“地域ふれあい交流会”の実行委員に任命され、出し物のミュージカルの主役に抜擢されてしまう。一緒に任命されたのは、本音を言わず、やる気のない少年・坂上拓実、甲子園を期待されながらヒジの故障で挫折した野球部の元エース・田崎大樹、恋に悩むチアリーダー部の優等生・仁藤菜月。彼らもそれぞれ心に傷を抱えていた…。
大ヒットを記録したアニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(通称・あの花)のスタッフが再結集して作った青春アニメ「心が叫びたがってるんだ。」は、再び、埼玉県秩父を舞台にし、親しみを込めて“ここさけ”と呼ばれている。映画は、若者の心の成長と淡い恋を丁寧に描いた好編だ。もともと明るく活発な少女だった順が、言葉を封印するエピソードが冒頭に登場するが、これがなかなかのインパクト。しかも、話すことさえできないヒロインがミュージカルのヒロインに?! 突飛な展開に思えるが、物語は実にスムーズに展開する。本音を言えない少年・拓実が実は音楽好きだったり、屈折した思いを抱える大樹とのやりとりから順の声を発見したり。ミュージカル映画「80日間世界一周」、「オズの魔法使い」などの名曲をとり込んだ設定も“聞かせどころ”だ。優等生・菜月と言葉を封印した順が表裏一体のような関係になって登場するクライマックスの発表会の演出はさすがのひと言で、あの花スタッフの脚本の力を改めて感じさせる。本当に思っていることを口に出すのは、現代社会ではとても勇気がいることだ。誰もが抱えるそんな悩みをテーマにしたところにこの映画の素晴らしさがある。好感度の高いビジュアル、ファンタジーとリアルが混在するストーリー、若者の成長という普遍的なテーマと、3拍子揃ったこのアニメ、言葉の持つ功罪を知り、それを乗り越えて自分をみつめる若者たちの姿に、きっと共感するはずだ。
大ヒットを記録したアニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(通称・あの花)のスタッフが再結集して作った青春アニメ「心が叫びたがってるんだ。」は、再び、埼玉県秩父を舞台にし、親しみを込めて“ここさけ”と呼ばれている。映画は、若者の心の成長と淡い恋を丁寧に描いた好編だ。もともと明るく活発な少女だった順が、言葉を封印するエピソードが冒頭に登場するが、これがなかなかのインパクト。しかも、話すことさえできないヒロインがミュージカルのヒロインに?! 突飛な展開に思えるが、物語は実にスムーズに展開する。本音を言えない少年・拓実が実は音楽好きだったり、屈折した思いを抱える大樹とのやりとりから順の声を発見したり。ミュージカル映画「80日間世界一周」、「オズの魔法使い」などの名曲をとり込んだ設定も“聞かせどころ”だ。優等生・菜月と言葉を封印した順が表裏一体のような関係になって登場するクライマックスの発表会の演出はさすがのひと言で、あの花スタッフの脚本の力を改めて感じさせる。本当に思っていることを口に出すのは、現代社会ではとても勇気がいることだ。誰もが抱えるそんな悩みをテーマにしたところにこの映画の素晴らしさがある。好感度の高いビジュアル、ファンタジーとリアルが混在するストーリー、若者の成長という普遍的なテーマと、3拍子揃ったこのアニメ、言葉の持つ功罪を知り、それを乗り越えて自分をみつめる若者たちの姿に、きっと共感するはずだ。
【80点】
(原題「心が叫びたがってるんだ。」)
(日本/長井龍雪監督/(声)内山昂輝、水瀬いのり、細谷佳正、他)
(成長度:★★★★☆)
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