source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
偏屈な中年男と孤独な少年との交流を描く「ヴィンセントが教えてくれたこと」。凸凹コンビの絶妙な距離感が最高。
アルコールとギャンブルに目がないヴィンセントは大の毒舌家で、飼い猫となじみのロシア人ストリッパー以外は寄せ付けない。近所でも敬遠されているヴィンセントだが、ひょんなことから隣家に越してきたシングルマザーから、12歳の息子オリバーのシッターを頼まれ、引き受けることに。オリバーの年齢も気にせず、バーや競馬場に連れていくヴィンセントに、オリバーは最初は反発するが、やがて嫌われ者の顔の裏側に隠した優しさや心の傷を感じ取る…。
偏屈で頑固者のチョイ悪オヤジ。でもなぜか憎めない。こんなキャラを演じさせたらビル・マーレイの右に出るものはいない。大人になりきれない中年男と、両親の離婚で大人びてしまった少年は、共に世間になじめず居心地悪く生きているもの同士。彼らは、年齢こそ違うが、互いに足りないところを補うことで、次第に理解を深めていく対等な相棒だ。認知症の妻やロシア人ストリッパーのダカの面倒もみてやり、実は若い頃はベトナム戦争で仲間を助けて勲章ももらっているという、周囲のほとんどが知らないヴィンセントの美徳を知ったオリバーは、ヴィンセントの中に聖人を見出していく。ベテランのビル・マーレイが相変わらずの好演だが、マーレイと互角に渡り合う新人子役のジェイデン・リーベラーがこれまた良い。妊娠中のストリッパー役を怪演するナオミ・ワッツといい、シリアス演技をきっちりこなすメリッサ・マッカーシーといい、この映画は役者のアンサンブルがとても魅力的だ。一種のバディ・ムービーでコメディ要素もたっぷりあるが、原題が「ST. VINCENT(聖ヴィンセント)」であることに大きく頷く終盤は、感動作に。ヴィンセントから習ったケンカでやっつけたいじめっ子ともしっかり友情を育み、擬似家族がにぎやかに揃うラストには心地よい幸福感が漂う。何より、実はいいヤツだけど、まったく反省の色がないヴィンセントが大好きになるはずだ。
アルコールとギャンブルに目がないヴィンセントは大の毒舌家で、飼い猫となじみのロシア人ストリッパー以外は寄せ付けない。近所でも敬遠されているヴィンセントだが、ひょんなことから隣家に越してきたシングルマザーから、12歳の息子オリバーのシッターを頼まれ、引き受けることに。オリバーの年齢も気にせず、バーや競馬場に連れていくヴィンセントに、オリバーは最初は反発するが、やがて嫌われ者の顔の裏側に隠した優しさや心の傷を感じ取る…。
偏屈で頑固者のチョイ悪オヤジ。でもなぜか憎めない。こんなキャラを演じさせたらビル・マーレイの右に出るものはいない。大人になりきれない中年男と、両親の離婚で大人びてしまった少年は、共に世間になじめず居心地悪く生きているもの同士。彼らは、年齢こそ違うが、互いに足りないところを補うことで、次第に理解を深めていく対等な相棒だ。認知症の妻やロシア人ストリッパーのダカの面倒もみてやり、実は若い頃はベトナム戦争で仲間を助けて勲章ももらっているという、周囲のほとんどが知らないヴィンセントの美徳を知ったオリバーは、ヴィンセントの中に聖人を見出していく。ベテランのビル・マーレイが相変わらずの好演だが、マーレイと互角に渡り合う新人子役のジェイデン・リーベラーがこれまた良い。妊娠中のストリッパー役を怪演するナオミ・ワッツといい、シリアス演技をきっちりこなすメリッサ・マッカーシーといい、この映画は役者のアンサンブルがとても魅力的だ。一種のバディ・ムービーでコメディ要素もたっぷりあるが、原題が「ST. VINCENT(聖ヴィンセント)」であることに大きく頷く終盤は、感動作に。ヴィンセントから習ったケンカでやっつけたいじめっ子ともしっかり友情を育み、擬似家族がにぎやかに揃うラストには心地よい幸福感が漂う。何より、実はいいヤツだけど、まったく反省の色がないヴィンセントが大好きになるはずだ。
【70点】
(原題「ST. VINCENT」)
(アメリカ/セオドア・メルフィ監督/ビル・マーレイ、メリッサ・マッカーシー、ナオミ・ワッツ、他)
(バディムービー度:★★★★☆)
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