2015年11月16日月曜日

ラスト・ナイツ

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


LAST KNIGHTS
悪政がはびこる時代の、とある封建国家。高潔な心を持つバルトーク卿は、権力欲に憑りつかれた大臣ギザモットに刀を向けた反逆罪に問われ、死罪を言い渡される。愛弟子ライデンは、主君を処刑する非道な命令を拒むが、バルトーク卿はライデンに「騎士の掟を全うし、自身亡き後の一族を守れ」と言い渡し斬首される。それから1年後、身分をはく奪されたライデンは酒浸りの日々を送っていたが、それは敵の目を欺き、仇討の機会をうかがうためだった…。

紀里谷和明監督が日本の忠臣蔵を映画化したハリウッド・デビュー作「ラスト・ナイツ」は、多国籍軍団による無国籍のチャンバラ劇だ。ハリウッド・スターはもちろん、イギリス、ノルウェー、ニュージーランド、イラン、韓国と、出演する俳優はワールド・ワイド。日本からは伊原剛志が参戦する。スタッフもまた多彩だ。これほどのキャスト・スタッフをまとめ上げた手腕はたいしたものだし、ビジュアル派の紀里谷和明監督らしい凝った映像は見ごたえがある。全編を覆う寒々しく暗い色調、中世ヨーロッパ風の美術の中にさりげなく東洋を紛れ込ませるセンスなどを背景に、気高い騎士たちによるアクションが展開する様は、ダーク・ファンタジーのようだ。だが物語は、正直“フツー”である。何しろベースとなる忠臣蔵の基本設定はほとんど変えていないのだから、驚きがないのはやむを得ない。むしろ珍作「47 RONIN」のようなトンデモ設定でないだけ、仕上がりは上品というものだ。なんといっても、独特の世界観の中心に名優モーガン・フリーマンがどっしりといるだけで画面が締まる。もっとも、耐えに耐えて主君の敵を討つ“武士道精神”がハリウッドでどこまで理解されたかは大いに疑問。ともあれ、「GOEMON」「CASSHERN」のようなトホホ感がないだけありがたいし、記念すべきハリウッド・デビュー作に“日本”をぶつけたところに監督の武士道(騎士道)があると解釈したい。
【60点】
(原題「LAST KNIGHTS」)
(アメリカ/紀里谷和明監督/クライヴ・オーウェン、モーガン・フリーマン、伊原剛志、他)
(映像美度:★★★★☆)
チケットぴあ

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ラスト・ナイツ@ぴあ映画生活