source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
SNSを駆使して情報を発信し、現在最高峰の美食家と称えられる5人組“フーディーズ”。世界を股にかけてミシュランの星付きレストランなどを回る彼らに密着し、その研ぎ澄まされた五感、超一流の料理、撮影厳禁の厨房、そして業界の裏話まで、カメラに収めていく…。
世界各国にある星付きレストランをテーマにしたドキュメンタリー「99分、世界美味めぐり」。グルメ・エンタテインメントは昨今の流行だが、本作の主役である、フーディーズと呼ばれるグルメたちが敢行した、美食を求めるワールドワイドな旅は、桁違いにゴージャスだ。めぐるのは、ニューヨーク、パリ、香港のような大都会から、中国の山奥の店まで多種多様。もちろん日本からもいくつかの名店が登場し「美食家にとって、日本はぜひ訪れたい楽園」と紹介される。5人は、大企業の元重役、音楽界の大物、元スーパーモデル、大金持ちの御曹司、ごくフツーの女の子(驚いた!)という構成だ。食に対する情熱はハンパではないのはわかるし、厨房まで撮影させてもらうのだから、いかに彼らがグルメ界で重要な存在かがわかる。世界中の一流レストランの料理は見ているだけでうっとり。スクリーンで美食めぐりをしているようで楽しいが、基本的には、すでに評価が定まった名店のみをまわっているように思えて冒険心は感じない。ただ一人、三ツ星109軒を制覇したというアンディ・ヘイラーが、あるレストランの料理に対して激しくダメだしをしたのは、目をひいた。日本から登場する名店のシェフは「料理人や店が批評家の言葉を気にするのはナンセンス。だがもっともナンセンスなのは、その批評によって右往左往する人々がいること」と言うのが印象的だ。SNSを使えば、現代では誰でも批評家になれることへの戒めだろう。だが料理に限らず、すべての業界は批評によって切磋琢磨してきたのではないか。もちろん映画も。その意味でこの作品は、とても楽しいが見終わっての印象は“薄味”だった。
世界各国にある星付きレストランをテーマにしたドキュメンタリー「99分、世界美味めぐり」。グルメ・エンタテインメントは昨今の流行だが、本作の主役である、フーディーズと呼ばれるグルメたちが敢行した、美食を求めるワールドワイドな旅は、桁違いにゴージャスだ。めぐるのは、ニューヨーク、パリ、香港のような大都会から、中国の山奥の店まで多種多様。もちろん日本からもいくつかの名店が登場し「美食家にとって、日本はぜひ訪れたい楽園」と紹介される。5人は、大企業の元重役、音楽界の大物、元スーパーモデル、大金持ちの御曹司、ごくフツーの女の子(驚いた!)という構成だ。食に対する情熱はハンパではないのはわかるし、厨房まで撮影させてもらうのだから、いかに彼らがグルメ界で重要な存在かがわかる。世界中の一流レストランの料理は見ているだけでうっとり。スクリーンで美食めぐりをしているようで楽しいが、基本的には、すでに評価が定まった名店のみをまわっているように思えて冒険心は感じない。ただ一人、三ツ星109軒を制覇したというアンディ・ヘイラーが、あるレストランの料理に対して激しくダメだしをしたのは、目をひいた。日本から登場する名店のシェフは「料理人や店が批評家の言葉を気にするのはナンセンス。だがもっともナンセンスなのは、その批評によって右往左往する人々がいること」と言うのが印象的だ。SNSを使えば、現代では誰でも批評家になれることへの戒めだろう。だが料理に限らず、すべての業界は批評によって切磋琢磨してきたのではないか。もちろん映画も。その意味でこの作品は、とても楽しいが見終わっての印象は“薄味”だった。
【50点】
(原題「FOODIES」)
(スウェーデン/トーマス・ジャクソン、シャーロット・ランデリ監督/アイステ・ミセヴィチューテ、パーム・パイタヤワット、アンディ・ヘイラー、他)