source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
ミステリー小説家である私のもとに、読者の女子大生・久保さんから自分が住んでいる部屋で奇妙な音がするという手紙が届く。早速二人で調べてみると、そのマンションに以前住んでいた人々が、引っ越し先で、自殺や心中、殺人などの事件を起こしていたことが判明。彼らは、なぜ、音のするその部屋ではなく、別々の場所で、不幸な末路をたどったのか。一連の事件の謎を調べていくうちに、数十年の時を経た壮大なる戦慄の真相に辿り着き、二人もまた、新たな事件に巻き込まれてしまう…。
ベストセラー作家・小野不由美の本格ホラー小説を映画化した「残穢 ざんえ 住んではいけない部屋」。自分が住んでいる家、あるいは土地で、過去に忌まわしい出来事があったのでは…という心配は、誰もが一度は感じるであろうリアルな恐怖だ。物語では、小説家の私と女子大生の久保さんの二人が、数十年もの時をさかのぼり、ある事件にたどり着くが、それは近づいたものに災難をもたらす“穢れ”が原因。これまた実話系オカルト話風で、背筋を凍らせる。中村義洋監督は、伊坂幸太郎原作の映画化でヒットメーカーになったので、ミステリーや感動作のイメージが強いが、もともとはホラーが得意。何しろ「ほんとにあった! 呪いのビデオ」シリーズの初代監督なのだ。とはいえ、本作は流血やショック描写は極力排している。その代わりに、ゆっくりと、でも確実に恐ろしい真相へと近づくジワジワ系の恐怖や、平凡な場所を想像力で恐ろしい空間へと変貌させる演出を多用しており、見事である。ちょっと残念なのは、穢れに関わる登場人物が多いので少し混乱してしまいそうになること。謎解きの詳細は映画を見て確かめてもらうとして、民間伝承や土着信仰をからめつつ、死者の強烈な怨念が充満していく展開や、ただそれに触れただけで無関係の人間まで犠牲になる不条理は、「リング」や「呪怨」などの系譜につながる正当派Jホラーならでは。ホラー、オカルト好きは必見だ。
ベストセラー作家・小野不由美の本格ホラー小説を映画化した「残穢 ざんえ 住んではいけない部屋」。自分が住んでいる家、あるいは土地で、過去に忌まわしい出来事があったのでは…という心配は、誰もが一度は感じるであろうリアルな恐怖だ。物語では、小説家の私と女子大生の久保さんの二人が、数十年もの時をさかのぼり、ある事件にたどり着くが、それは近づいたものに災難をもたらす“穢れ”が原因。これまた実話系オカルト話風で、背筋を凍らせる。中村義洋監督は、伊坂幸太郎原作の映画化でヒットメーカーになったので、ミステリーや感動作のイメージが強いが、もともとはホラーが得意。何しろ「ほんとにあった! 呪いのビデオ」シリーズの初代監督なのだ。とはいえ、本作は流血やショック描写は極力排している。その代わりに、ゆっくりと、でも確実に恐ろしい真相へと近づくジワジワ系の恐怖や、平凡な場所を想像力で恐ろしい空間へと変貌させる演出を多用しており、見事である。ちょっと残念なのは、穢れに関わる登場人物が多いので少し混乱してしまいそうになること。謎解きの詳細は映画を見て確かめてもらうとして、民間伝承や土着信仰をからめつつ、死者の強烈な怨念が充満していく展開や、ただそれに触れただけで無関係の人間まで犠牲になる不条理は、「リング」や「呪怨」などの系譜につながる正当派Jホラーならでは。ホラー、オカルト好きは必見だ。
【60点】
(原題「残穢」)
(日本/中村義洋監督/竹内結子、橋本愛、佐々木蔵之介、他)