source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
南米コロンビアを訪れたカナダ人サーファーの青年ニックは、そこで美しい女性マリアと運命的に出会い、激しい恋に落ちる。やがてニックはマリアが敬愛する大切な叔父に紹介されるが、その叔父の名は、パブロ・エスコバル。彼は国会議員を務め民衆からの支持も厚い一方で、コロンビア最大の麻薬カルテルのボスでもあった。愛する姪マリアが連れてきた恋人ニックを、エスコバルは優しくファミリーに迎え入れるが、楽園のような彼の王国の恐ろしさに、ニック徐々に気付いていく…。
実在したコロンビアの麻薬王パブロ・エスコバルの光と影を描く犯罪ドラマ「エスコバル 楽園の掟」。国会議員を務め、慈善事業を行い、民衆からの支持も厚い富豪のエスコバルは、犯罪組織メデジン・カルテルの創始者であるコロンビアの麻薬王だ。本作では、架空の外国人青年の目を通して、エスコバルの矛盾や狂気を描いているのが上手い。何しろこの麻薬王、やることなすことビックリ行天で、刑務所を豪華ホテル並みに改装したり(その刑務所にやがて自分が意図的に収監され贅沢三昧)、アメリカの特殊部隊デルタ・フォースと本気で戦ったり(個人でアメリカ軍と闘うところがスゴイ)。そんな尋常ではない世界に放り込まれた、何も知らないお気楽な青年がどう変化するか、がポイントとなっている。それにしても80年代の話とはいえ、ニック青年は、コロンビアという国や、エスコバルのことをあまりに知らなすぎだ。勢いで結婚したとはいえ、相手のことはもう少し調べてからにすべきだろう…と思わずツッコミを入れてしまう。南米のゴッドファーザーともいえる人物エスコバルを演じるベニチオ・デル・トロの怪演…いや、狂演がすさまじい。俳優として「夜になるまえに」などに出演したアンドレア・ディ・ステファノの監督第1作目だが、監督としてもなかなかの力技を見せてくれた。
実在したコロンビアの麻薬王パブロ・エスコバルの光と影を描く犯罪ドラマ「エスコバル 楽園の掟」。国会議員を務め、慈善事業を行い、民衆からの支持も厚い富豪のエスコバルは、犯罪組織メデジン・カルテルの創始者であるコロンビアの麻薬王だ。本作では、架空の外国人青年の目を通して、エスコバルの矛盾や狂気を描いているのが上手い。何しろこの麻薬王、やることなすことビックリ行天で、刑務所を豪華ホテル並みに改装したり(その刑務所にやがて自分が意図的に収監され贅沢三昧)、アメリカの特殊部隊デルタ・フォースと本気で戦ったり(個人でアメリカ軍と闘うところがスゴイ)。そんな尋常ではない世界に放り込まれた、何も知らないお気楽な青年がどう変化するか、がポイントとなっている。それにしても80年代の話とはいえ、ニック青年は、コロンビアという国や、エスコバルのことをあまりに知らなすぎだ。勢いで結婚したとはいえ、相手のことはもう少し調べてからにすべきだろう…と思わずツッコミを入れてしまう。南米のゴッドファーザーともいえる人物エスコバルを演じるベニチオ・デル・トロの怪演…いや、狂演がすさまじい。俳優として「夜になるまえに」などに出演したアンドレア・ディ・ステファノの監督第1作目だが、監督としてもなかなかの力技を見せてくれた。
【55点】
(原題「Escobar:Paradise Lost」)
(フランス、スペイン、ベルギー、パナマ/アンドレア・ディ・ステファノ監督/ベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ハッチャーソン、クラウディア・トレイザック、他)