2016年6月24日金曜日

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source: KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック




 Stanley Kubrickの映画「2001: A Space Odyssey」にはHAL 9000というAIが登場する。映画はThe Dawn of Man/TMA-1/Jupiter Mission/Jupiter and Beyond the Infiniteの4部で構成されており、HALは第3部のJupiter Missionにおける中核的キャラクターと言ってもいいだろう。

 映画の公開当初からHALはIBMをアルファベット順で一字づつずらした文字遊びの結果、生まれてきた単語で、そもそもはIBMだったのではないか、という憶測が流れていたが、この噂に対して、当事者のKubrickは

Just to show you how interpretations can sometimes be bewildering: A cryptographer went to see the film, and he said, "Oh, I get it. Each letter of HAL's name is one letter ahead of IBM ... now that's pure co-incidence ... an almost inconceivable co incidence. It would have taken a cryptographer to notice that.

Source: Kubrick quote from an interview with Chris Kohler in the East Villiage Eye, reproduced in The Making of 2001: A Space Odyssey, edited by Martin Scorsese.

といって否定してきたのだ。ただし、実際には、HAL=IBMだというのが、通説となっていた。

 ところが最近、Los Angeles County Museum of Artが行ったStanley Kubrick特別展でHAL=IBM説を裏付ける証拠となる、Kubrickがこの問題についてやりとりした手紙のコピーがでてきたというのだ。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:Business News Line/Posted 3 years 6 months ago




 うーん、ちょっと間違ってますね。まず、映画に登場するコンピュータはHALだけではありません。オリオン号やアリエス1B宇宙船の操縦席、スペースポッド、それにニュースパッドもコンピュータです。これらセットや小道具には協力企業のIBMのロゴが入れられていたのですが、この記事の手紙の通り、映画が「コンピュータが狂って人間を殺害する」という内容をIBMが知ればトラブルになりかねない、と考えたキューブリックがIBMのロゴをセットや小道具から外してしまった(ただし幾つかは残ってしまった)、というのが正しい経緯です。この手紙で危惧しているのはHALがIBMのもじりであるかどうかの話ではなく、HALを含む映画に登場するコンピュータ全ての話です。

 ではその噂は真実かどうか、という点ですが、私は真実だと思っています。キューブリックもクラークも、人間を殺害するコンピュータに協力企業であるIBMの名前をつけるほど愚かではありません。最初はソクラテス、次にアテナ、最終的にHALに落ち着きました。しかし皮肉屋のキューブリックの事、史上初めて歌を歌った(曲はもちろん『デイジー』)コンピュータの型番が「IBM7094」だったのを知り、それをもじって「HAL9000」という名前を与えたのだと思います。噂の通りIBMのアルファベットを一文字前にずらせばHALですし、7094よりも新しい型番なら9000を選んでもおかしくありません。つまり「IBM7094」の進化版が「HAL9000」だと言いたかったのだと思います。

 しかし意外に早く「IBM→HAL」のカラクリがバレてしまったので、手紙の通りIBMの反応に神経質になっていたキューブリックとクラークはIBMから訴訟を起こされるのを恐れ、やっきになって「偶然だ」と否定したのだと思います。実際映画公開時にIBMは『2001年…』を観ないように社員に通達を出していますしね。それからずいぶんの後、クラークはIBMの社員が『2001年…』を自慢しているのを伝え聞くに及んで「もう否定するのはやめた」と記しています。否定するも何も最初から噂の通りだったのでは?というのが管理人の推察です。

 ところでキューブリックの皮肉屋っぷりはこれだけではありません。冷凍睡眠中にHALに殺されてしまうカミンスキー博士ですが、実は人工知能の権威でキューブリックも協力を仰いだ専門家がマービン・ミンスキーという名前なのです。つまり「人工知能の権威が人工知能によって殺される」という皮肉を劇中でやっているのですね。こんな皮肉を考えるキューブリックですから「IBM7094→HAL9000」なんていかにも考えそうなことに思えるんですがいかがでしょうか。