2016年6月11日土曜日

アウトバーン

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評




ドイツ、ケルン。かつて凄腕の車泥棒として名をはせたアメリカ人青年ケイシーは、偶然出会ったジュリエットと運命的な恋に落ち、真面目に働こうと決心する。だがジュリエットに重い病が発覚し、彼女を救うためケイシーは再び危険な仕事を引き受けることに。車を盗んで届けるだけの仕事だったはずが、トラックには麻薬、高級車に500万ユーロが隠されており、ケイシーは巧妙に仕掛けられた危険な取引に巻き込まれてしまう。二つの巨悪組織から逃れながら、恋人ジュリエットを救うため、高級車を乗り換えながらアウトバーンを爆走するケイシーだったが…。

闇取引に巻き込まれた天才車泥棒の青年の奮闘を描くアクション「アウトバーン」。ヨーロッパの高級車を惜しげもなく使った、速度無制限のドイツの高速道路・アウトバーンでの壮絶なカーチェイスが最大の見所だ。知的なワルと下品なワルを演じる、二大オスカー俳優アンソニー・ホプキンスとベン・キングスレーの豪華すぎる競演も見逃せない。だが、アウトバーンでのチェイスの時間が思ったより短く物足りないし、アクションというよりは、ラブストーリーの要素が強いのも肩透かしだ。難病もの演出も唐突すぎる。それでも、主演のニコラス・ホルトはどこかウブな感じで、純愛ものにはぴったりハマる俳優だ。「ウォーム・ボディーズ」のような愛らしい小品から、「マッドマックス」「X-MEN」のようなメガヒット大作まで、縦横無尽に出演する若手売れっ子スターなのだが、「アバウト・ア・ボーイ」のあの少年がこんなにりっぱになって…と、つい感慨にふけってしまう。物語は、ケイシーがジュリエットを救うためならと八面六臂の大活躍、ラストにはどんでん返しもちゃんと用意されている。監督は隠れた佳作「ビトレイヤー」のエラン・クリーヴィー。裏社会に生きる男たちの意地やプライドをしっかりと盛り込みながら、手堅くまとめている。
【55点】
(原題「COLLIDE」)
(英・独/エラン・クリーヴィー監督/ニコラス・ホルト、フェリシティ・ジョーンズ、ベン・キングズレー、他)
(カーアクション度:★★★☆☆)
チケットぴあ

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