source: KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック
アイズ ワイド シャット [Blu-ray]
〈前略〉
それは夢か現実か?『アイズ ワイド シャット』
開業医ビル・ハーフォード(トム・クルーズ)は、美しい妻アリス(ニコール・キッドマン)と子供にも恵まれ、一見満たされた日々を送っていました。パーティから帰った夜、ビルはひょんなことからアリスの浮気願望を聞いてしまいます。まさか自分の妻にそんな欲望があったとは思わなかったビルはショックを受け、夜の街を彷徨い歩くことに。夜の街でビルを待ち受けていたのは、官能に満ちた不思議な体験の数々。しかしあと一歩を踏み出しきれないビルを笑うかのように、ビルの中ではアリスが浮気をする妄想が膨らみ続けます。
スタンリー・キューブリックの豪華な映像にトム・クルーズ、と来ればどれだけ華やかなラブロマンスが見られるのか…と思いきや、ビルはなかなか一歩を踏み出すことができない男。行動力あふれる役柄が多い近年のトム・クルーズ作品では、あまり見られない役柄です。お相手には美しい女性たちが揃っている上、出てくる男性たちのうちハンサムで若く社会的地位もあるのはビルだけ。しかしどうしても踏み出すことができない…。そんな庇護欲を誘う演技をぜひご覧ください。
〈以下略〉
(全文はリンク先へ:Grapps/2016年10月07日)
キューブリックはトム・クルーズの主演映画『7月4日に生まれて』の演技を見てクルーズをビル役にキャスティングしたそうですが、単なるイケメン俳優から演技派俳優へ脱皮したのもこの頃でした。『アイズ…』の頃(今も)のクルーズは世界一と言っていいほどの高額ギャラ俳優ですが、そのクルーズを1年以上に渡って撮影で拘束し、しかも破格の安値で雇い続けられたのはキューブリックの名声があればこそ。最初は献身的にキューブリックに尽くしていたクルーズも、あまりにも撮影が長期になるにつれ相当なストレスに晒されたようです。まあ、その時間を他作の出演に振り分けていれば何倍、何十倍も稼げていたわけですから、そうなるのも分かる気もしますが。
そのクルーズはスピルバーグ作品でも主演(『マイノリティ・リポート』)しているので、その後の撮影現場で「スティーブンはああだった、スタンリーはこうだった」と言っているそうですから、その苦労も少しは報われたと思いたいですね。