source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
恋愛未経験で純粋な女子大生だったアナは、大企業の若きCEOで大富豪のクリスチャン・グレイと出会い、互いに強く惹かれあうが、アナはクリスチャンの歪んだ愛を受け入れられず、別れを告げる。卒業して出版社に勤務するアナは新生活を始めるが、彼女の前にクリスチャンが現れ関係の修復を望む。密かにクリスチャンを想い続けていたアナは喜びをかみしめながらも、ある条件を要求する。再び刺激的な日々が始まるが、二人の前に、その恋を邪魔する人物が現れる…。
官能ラブ・ストーリー「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」の続編「フィフティ・シェイズ・ダーカー」では、再会したアナとクリスチャンは、新たなルールでの恋愛をスタートする。二人の恋の障害となる男女といえば、クリスチャンの過去の“服従者”の女性はまるで幽霊のようだし、アナに執拗に接近する上司はストーカー状態と、かなり戯画化されている。そこに「ナインハーフ」で官能的な役を魅力的に演じたキム・ベイシンガーが登場。クリスチャンをSMの世界へと誘った年上の美女役で、時代の流れを感じさせる。それにしても問題はアナのキャラクターだ。「今度は私のルールで恋愛を進める!」と要求を出しておきながら、あまりにも受動的。公私ともに問題山積だが、それをすべて解決してくれるのは、クリスチャンの財力なのだから、失笑してしまう。クリスチャン・グレイがアナのどこに惹かれたのかをもっとしっかり描くべきなのではないのか? ただ、ダコタ・ジョンソン、ジェイミー・ドーナンの二人は相変わらずビジュアル的に完璧だ。特にドン・ジョンソンとメラニー・グリフィスの間の娘であるダコタ・ジョンソンは、いつもは少女のようにあどけないのに、黒やシルバーのドレスでドレスアップすると、目を見張るほどゴージャスに変身。スレンダーなボディは、大胆できわどいシーンを演じてもちっとも下品にならず、美しいからさすがだ。どうやら、次回作もあるようなのでファンには喜ばしいことだろう。“ハンサムでリッチ、心に傷を抱えたイケメン男性の運命の女性はこの私”。今さら感が漂うこの妄想ストーリーは、それでもハリウッドが作れば、薄っぺらいお話もゴージャスな雰囲気に仕上がるという好例だ。
【50点】
(原題「FIFTY SHADES DARKER」)
(アメリカ/ジェームズ・フォーリー監督/ダコタ・ジョンソン、ジェイミー・ドーナン、キム・ベイシンガー、他)