source: KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック
『2001年宇宙の旅』で初めて発せられる人類の言葉がこの「メーン・フロアです」。原語では「Here you are, sir. Main IeveI, pIease.」
キューブリックとビートルズの結びつきといえば、以前この記事で「TV映画『マジカル・ミステリー・ツアー』の『フライング』のシーンは、『博士…』のオープニング・シークエンスのアウトテイクの流用」とか、「『2001年…』の猿人「月を見るもの」を演じたダン・リクターは、ジョンとヨーコが購入し『イマジン』のMVの舞台となった邸宅、ティッテンハースト・パークで一緒に暮らしていた」とか、小ネタがいくつかあるのですが、それにまたひとつネタが加わりました。
『2001年…』で記念すべき人類初のセリフ「メーン・フロアです」を発するエレベーターガールを演じたのは、当時売れっ子のモデルだったマギー・ロンドン(Maggie London)という女性です。このマギー、ビートルズ初の主演映画『ハード・デイズ・ナイト(旧題:ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!)』のディスコシーンでリンゴ・スターと踊っている女性がそのマギーになります。
1:17からのダンスシーンの左側の女性。
Ringo Starr Jiving With Maggy London At Les Ambassadeurs Nightclub In London To Shoot Part Of The New Film 'a Hard Day's Night'. 1964 . Rexmailpix.(Shutterstock)
しかもこのマギー、結婚した相手が1960年代ブリティッシュ・インヴェイジョンの一翼を担ったバンド、マンフレッド・マンのボーカル、マイク・ダボで、結婚時はマギー・ダボを名乗っていたとか(2子をもうけ、現在は離婚)。
ヒット曲『Doo Wah Diddy 』。ロックファンにはクリームのジャック・ブルースが在籍していたバンドとして有名。
まあ、当のキューブリックはポピュラー・ミュージックには疎かったそうですので、どこまでこういった細かい事情を把握していたのかは不明ですが、この『2001年…』も当時の「スウィンギング・ロンドン」の影響(ハーディー・エイミスがデザインしたコスチュームに顕著)を受けていたんだな、と思わせるエピソードですね。
ハーディー・エイミスがデザインしたコスチュームに身を包んだマギー・ロンドン
▼この記事の執筆に当たり、以下の記事を参考にいたしました。
Studio of Style/Maggie London on Vidal Sassoon: "A True Genius"
Maggie London(IMDb)