source: KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック
OAが金曜日の早朝という時間帯もあって、見逃した方や録画し忘れていた方もいらっしゃるようです。ですのでこの記事は私感を挟まず、レポートに徹したいと思います。
(1)イントロダクション
ナレーション:「2018年、アメリカ・ハリウッドで、ある映画を蘇らせようというプロジェクトが進行していました」「今では上映する設備がほとんどなくなってしまった70mmフィルムで制作された歴史に残る名作、その映画とは『2001年宇宙の旅』」「斬新な映像美が今も人々の心を捉える、映画史に輝く金字塔です」「人類が月に降り立つ前、1968年に公開されました」「制作したのは巨匠、スタンリー・キューブリック監督」「綿密なリサーチ、驚くような視覚効果を駆使してこの映画を作り上げました」
「今回、その偉大な映画を貴重なオリジナル(ネガ)フィルムを使って8K化しようというのです」「ハイビジョンをはるかに上回る高画質で細部に至るまで再現します」
8K化プロジェクト担当 Susan Cheng氏:「最先端の8Kテクノロジーで蘇らせる作品として、『2001年宇宙の旅』ほどふさわしい映画はありません」
8K化プロジェクト担当、Miles DelHoyo氏:「最新の8Kで、50年前のフィルムの空気感も伝えることができます。映画本来の意図により近づけたと感じています」
ナレーション:「今日は、この映画の大ファンのお二人が一足早く8K版を体験し、大興奮」
佐野:「50年前に未来の映画を撮ったのではなく、今の映画の感じがする」
ナレーション:「珠玉の名作がBS8Kでまもなく放送。よみがえった『2001年宇宙の旅』の魅力に迫ります」
(2)スタジオに佐野史郎さん中川翔子さん登場
中川:「佐野さんお待たせいたしました。今日は8Kの映像で『2001年宇宙の旅』が観られるなんて最高ですね」
佐野:「どんな絵なんだろうね」
ナレーション:8KTVでの特別試写会にお招きしたのは、芸能界きっての『2001年…』好き、佐野史郎さんと中川祥子さん
中川:「佐野さんはこの映画といつ出会ったのですか?」
佐野:「僕は1968年のロードショーの時、13歳・中学2年で。国語の先生がとにかくすごいと力説、とにかく全員観てこい!と」「それであの黒い板は何か?の授業をしたんです」「それがやっぱり忘れられない授業ですね」
中川:「私の場合はオールタイムベストで入ってる映画ですし、宇宙も好きだしってことで観たんですけども」「ベストテンを選ぶというより、それを超越した殿堂入りのところに『2001年…』と『燃えよドラゴン』がいるなっていう」
(3)8Kの解説
佐野:「8Kは初体験」
中川:「我々が見てきたハイビジョンの16倍らしいですね」
ナレーション:「ハイビジョンは画素数がおよそ200万、それが8Kになるとその16倍、およそ3300万の画素数に」「より臨場感のある映像体験が楽しむことができるんです」
中川:「色彩とか質感とかも、これまで今まで私たちが体験したことのない『2001年…』になるみたいですね」
ナレーション:「それではよみがえった8K完全版、『2001年宇宙の旅』の一部をご覧ください」
(4)8K版『2001年宇宙の旅』ダイジェスト
ナレーション:「地平線の彼方まで見渡せる映像の美しさにご注目ください。映画の冒頭『人類の夜明け』のシーン」「8Kで見ると(猿人の)リアルな毛の質感まで感じることができます」「私たちの祖先の目の前に、モノリスが突如出現」「モノリスの出現をきっかけに、人類は進化の階段を一つ登ることになります」「それから数百万年後、人類は宇宙にまで進出していました」
ナレーション:「この映画の生みの親、スタンリー・キューブリック監督」「彼はこの作品を《潜在意識と感覚に訴える、言葉によらない体験》と語っています」「キューブリック監督はスクリーンに吸い込まれるような、体験する映画にするためにある方法を採りました」「通常の映画では幅35mmのフィルムが使用されてきましたが、『2001年…』では幅70mmの大型フィルムを使用されました」「70mmフィルムは上映できる映画館が限られてしまいますが、映像の解像度がより高くなるのが特徴です」
ナレーション:「70mmフィルムが持つ情報は膨大で、ハイビジョン放送用に変換すると、本来の情報全てを再現できません」「ところが8Kは70mmフィルムと同等の情報量を記録できるため、オリジナルの画質を損なうことなく放送することができるのです」「つまり8K放送では、この映画の魅力を余すところなく味わうことができるというわけです」
ナレーション:「これまでの放送では気がつかなかった細かいディテールをご覧ください」「宇宙船が月面に降り立っていくシーン」「地下の基地に入っていくところでよく見ると、コントロールルームで人々が宇宙船の着陸を見守っています」「キューブリック監督は、ここまで作り込んでいたのです」「宇宙船ディスカバリーも8Kで見ると大迫力。宇宙船の外壁の細部までよくわかります」「無重力トイレの詳しい使い方は8Kでじっくりご確認ください」「宇宙飛行士が(食事のシーンで)使っているのは、あのデバイスそっくりです」「8K版で観ると、観客に21世紀の宇宙旅行を体験させたいという、キューブリック監督の強い思いをより感じることができるんです」
ナレーション:「宇宙へと進出した人類。月面基地で彼らを待っていたのはあのモノリスだったのです」「人類はさらなる進化を遂げることになるのでしょうか」「この映画は宇宙を舞台に、人類の歴史、そして進化を描いた、壮大なスケールの作品なのです」
(5)スタジオの佐野史郎さん中川翔子さん
中川:「8K、すごいですね」
佐野:「8K、想像を超えてたなあ」
中川:「考えたり、感じたりするのがすごく楽しいなって、この映画観るたびに思っていたんですけど、人類の進化が目の前で起きちゃってるのを体感しちゃってる感じ」
佐野:「映画観てるというよりも体感だよね」
佐野:「月面で触れるときも鏡みたいに写ってるけど、類人猿が最初に触れるときにもモノリスに写ってたね」「ああいうの全然初めて見た。わからなかったね今まで」
佐野:「国語の先生からあのモノリスは何か?っていう授業を受けたとき、人生の経験として、俳優としても大きな授業だった」「猿のマネをするですよ、最初に」
中川:「猿人のマネしたんですか」
佐野:「演じるってことは・・・やりましたね」
中川:「類人猿やってなかったら冬彦さんもいなかったかも知れないですね」
中川:「ごはん食べてるシーンでタブレットのようなもの(があって)、2018年の私たちのランチライムみたいみたいな、先に映画が未来予知していたとしか思えないくらいに」
佐野:「あのモニタ、IBMだったね」
佐野:「パンナムの宇宙船の中で漂っているペン先には、ボールペンだよあれ、スプリングがついていたもん」「あー、ボールペンだったんだこれ」「いや、そんなのも初めて見たしね」(注:正しくは「アトミックペン」詳細はこちら)
中川:「ついにトイレの説明書きが読めちゃった」とフリップ登場。邦訳は『メイキング・オブ・2001年宇宙の旅』の転載。「トイレの使い方は欲しくないですか?」
佐野:「欲しいですよもちろん。なんて書いてあるんですか?」
中川:「標準無重量ゼロGタイプで、必要に応じてシステムAとシステムBのどちら一方、あるいは両方を使うことができます」「超音波シャワーを使う時は・・・」「モイストタオルとはなんだろう?」
佐野:「これ(フリップ)ちょっと欲しいですね」
(6)ワーナー・ブラザーズの作業の舞台裏
ナレーション:「佐野さんと中川さんの心を掴んだ、8K版『2001年宇宙の旅』はアメリカの大手映画会社(ワーナー・ブラザーズ)が手がけました」「その舞台裏をちょっとだけお見せしましょう」「今回特別に取材が許されたフィルム保管庫」「そしてこれが、世界の人々を魅了した『2001年宇宙の旅』のオリジナルネガフィルム」
ワーナー8K化プロジェクト担当、ネッド・プライス氏:「映画の撮影の時に実際にカメラに入っていたネガです」「だいたい10年に一度、全てのフィルムを開け、目を通し、それぞれのフィルムが痛んでいないかチェックをします」「今回、この映画と改めて向き合い、最高の状態で見てもらえるよう挑戦しました」「今は多くの人が、画質の悪いコピーを通して映画を観ているのが現実です」「最新の技術でより高い解像度で修復すれば、作品に命が吹き込まれ。もっと身近なものに感じられるでしょう」
ナレーション:「オリジナルフィルムを8K化するのに使われたのは、大型フィルム専用のデジタルスキャナーです」「一コマ一コマ丁寧にカメラに読み取られていきます」「映画全てのコマを読み込むだけで2ヶ月かかりました」「次はデジタル化された映像を、8Kレベルで細かく修復していきます」「今回のプロジェクトのために、これまで以上に念入りに作業が行われました」「オリジナルネガにある大きな傷を熟練したスタッフが修復」「8Kだと気になるごく小さな傷も一コマづつ丁寧に取り除きます」「このような作業を積み重ね、映画が50年前の姿を取り戻していったのです」
(7)スタジオの佐野史郎さん中川翔子さん
ナレーション:「今回テスト用にコピーした70mmネガフィルムをお借りしてきました」
佐野:「普段は白手袋して触るけど、いいということなので」
中川:「でかっ!」
佐野:「これが70mm・・・」
中川:「モノリスが出現した、類人猿たちが囲むシーンかな」「これを一コマづつカメラで撮って、2ヶ月の時間をかけて」「8Kにするって大変でしたね」
佐野:「スキャニングだけでもたいへんだけど、ここから修復するってのがね」
中川:「高画質になってなお、どうやって撮影しているのかわからない」
佐野:「今の映画って感じがする」「50年前に未来の映画を撮ったのではなく、今の映画の感じがする」「50年後の公開を見据えて作ってたんじゃない・・・」
(8)ワーナー・ブラザーズの作業の舞台裏
ナレーション:「50年後の今観ても、新しさを感じる映画を作り上げたキューブリック監督」「当時誰も観たことがない未来の世界を表現するために、綿密なリサーチを行い、映画のリアリティを追求しました」「監督が書き込んだ撮影方法に関するメモ」「キューブリック監督はデザインや色彩など、あらゆるものに徹底的に指示を出していました」「今回の8K化で困難を極めたのは、今は亡きキューブリック監督の意図に反しないように、作業を進めることでした」
ネッド・プライス氏:「監督の意図が込められているオリジナルネガは何物にも代えられないものです」「今回の8K化では最新の注意を払いました」
ナレーション:「もっとも苦労したのが、監督がイメージしていた色彩の再現でした」「そのためスタッフは、元々のフィルムに立ち返って検証するという手法を採りました」「オリジナルネガフィルムから当時の指示通りに現像、肉眼で確認します」「そして、その発色や明るさ、コントラストなどを8Kのデジタル化に反映させていきました」
ナレーション:「今回の作業にはほぼ一年かけたといいます」「もっとも作業が難しかったひとつがこのカット」「星の間にモノリスが浮かんでいるのですが、宇宙の色と同化してしまいはっきりと見えません」
映画会社カラリスト ジャネット・ウィルソン氏:「宇宙の黒の中で、モノリスをどうミステリアスに見せるか、色のバランスが難しいのです」
ナレーション:「これが完成したシーン。モノリスが黒い宇宙に浮かび、星の表面の模様や色彩なども美しく映えるシーンになっています」「キューブリック監督が目指した色彩や質感を、8K完全版『2001年宇宙の旅』でお楽しみください」
(9)スタジオの佐野史郎さん中川翔子さん
中川:「8Kで見えてきた、キューブリックが本当に伝えたかった色彩、限りなく近いものがやっと見えてるということなんですね」
佐野:「最後の白い部屋のベッドのグリーン」
中川:「白い部屋のシーンが8Kの、そしてスタッフさんが再現してくれた力を感じましたね」
佐野:「8Kになったことで、いままで感じたことのない感情がかきたてられる」とネタ帳を披露しつつ「ハル9000はイリノイ州アバーナ、HAL工場で1992年1月12日生まれ。先生はラングリー。歌うこともできます。デイジー」
中川:「怖かったですね、あのシーン」「佐野さんの方がウィキペディアより詳しい」
ナレーション:「ハル9000というのは、この映画の重要なキャラクターのひとつ。宇宙船をコントロールする人工知能、AIのこと」「映画の後半、ハルは反乱を起こし、船長のボーマン以外の全ての宇宙飛行士の命を奪います」「ボーマンはハル9000の電源を落とそうとするのですが・・・」
佐野:「一番の発見は、ハルの感情が8Kになったことでザワザワ来るんだわ」「ハルのボーマンに対する・・・男女の恋愛ではないかも知れないけど・・・愛してしまったと思って・・・」「映像がキレイになったら情報が分かるだけじゃないな」「まさにそのことを監督はオリジナルネガではやろうとしてたんだな」「それが50年の時を経ないとわからないように、監督はわかってんたんじゃないかと」
中川:「今、8Kで多感な頃に観られる人たちがうらやましい」「いろんな映画がそうだと思うけど、特にこの映画は観る前と、観た後で人生の色というか見える世界の色が違う感じがしますね」「50年経った、50年前とか関係なく観られるように、この8Kおかげでよりなると思うんで」「本当にここから生まれる人たちにも、早く出会って欲しいですね、若い人たちに、どうか」
中川:「キューブリックに見て欲しかったですね」
佐野:「そうだよね、誰よりも、見てるでしょう」
中川:「見てますかね」
佐野:「その辺にいるんじゃないの?」「何度観てもいいと思う」
ナレーション:「《文字にできること、あるいは考えられることは、映像にできる》その言葉の通り、未来を映像化したキューブリック監督」
ナレーション:「2018年、ドイツフランクフルトで公開50周年を記念して特別展が開かれました」「今に残る小道具や資料など、貴重なコレクションが世界中から集められました」「キューブリック監督の遺産は、今もなお、世代を超えて人々の心を捉えています」「70mmフィルムの映画は上映すら難しくなりましたが、8K化することで監督の目指したビジョンを家庭でも楽しめる時代になったのです」
中川:「8Kの映像で見えて来る色彩、質感、空気感までもが思いっきり味わうことができるこの8K、ぜひ若い世代のみなさんも『2001年宇宙の旅』という、映画史、人類史に残るすばらしい名作を8Kで堪能して、ぜひ観終わったみなさんと語り合いたいです」
佐野:「これまで気がつかなかった、様々な情報はもちろんですが、8Kになったことで新たな感情がいっぱい湧き起こりましたし、情報だけではない、感情を揺り動かすための8Kだったんじゃないかな、と思います。みなさんもぜひご覧ください」
ナレーション:「監督の思い、そして50年後にそれを蘇らせたスタッフの思いが結実した8K完全版『2001年宇宙の旅』、2018年12月1日(土)午後1時10分よりBS8Kで放送です」
以上ですが、30分と短い番組ですし、あくまでBS8Kの番宣番組ですので再放送される可能性は限りなく低いと思います。見逃した方は残念ですが、視覚的な情報以外はこの記事で概略をテキスト化しましたので、参考にしてみてください。