source: KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック
『突撃』を撮影中のキューブリック。『God Fearing Man』の脚本は『突撃』の後、1958年頃に書かれた。本人が語る「誰も欲しがらなかった2本の脚本」の内のひとつだと思われる。
TV Drama Based on Stanley Kubrick Script Set for Production
A high-end television drama based on an original screenplay by acclaimed filmmaker Stanley Kubrick has been set as a first scripted project for new European production company Media Musketeers. “God Fearing Man” was one of two initial projects announced Tuesday by the company, which was officially launched in April by former Warner Bros executive Chris Law and former Apple executives Sebastien Janin and Andy Docherty.
“God Fearing Man” is based on a book by Herbert Emerson Wilson and Kubrick’s original screenplay which tell the true story of a Canadian church minister-turned-safecracker who became one of the most successful bank robbers in U.S. history.
Media Musketeers will collaborate with U.K. independent producer ForLan Films on the project. ForLan has developed the project as a four-hour TV drama, working with Philip Hobbs, who served as co-producer on Kubrick’s 1987 Vietnam War classic “Full Metal Jacket.” Hobbs will produce alongside ForLan’s Steve Lanning. Janin and Docherty will serve as executive producers.
評価の高い映画監督スタンリー・キューブリックによって書かれたオリジナル脚本に基づくハイエンドのテレビドラマは、新しいヨーロッパの制作会社、メディア・マスケーターズの最初のプロジェクトとして立ち上がりました。『God Fearing Man』は、火曜日に同社が発表した2つの最初のプロジェクトのうちの1つであり、4月にワーナー・ブラザーズの元幹部Chris Lawとアップルの元幹部Sebastien JaninとAndy Dochertyによって正式に発表されました。
『God Fearing Man』は、ハーバート・エマーソン・ウィルソンの小説とキューブリックのオリジナル脚本に基づいています。これは、アメリカの歴史で最も成功した銀行強盗の一人となった、牧師から転身した金庫破りのカナダでの実話を基にしています。
メディア・マスケーターズは英国の独立制作会社、フォーラン・フィルムズと共同でプロジェクトを行います。フォーランは、このプロジェクトを4時間のテレビドラマとして制作します。フィリップ・ホッブスは、1987年制作のベトナム戦争映画の名作『フルメタル・ジャケット』の共同プロデューサーを務めていました。 JaninとDochertyがエグゼクティブプロデューサーを担当します。
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(全文はリンク先へ:VARIETY/2019年5月14日)
以前こちらで記事にした、ハーバート・エマーソン・ウィルソンの小説『私は1600万ドルを盗んだ』をキューブリックが脚本化し、それを基にしたTVドラマ『God Fearing Man』の制作が進行中のようです。
この『私は1600万ドルを盗んだ』は、キューブリックが『突撃』公開後の1958年頃に進めていた企画で、ジム・トンプソンと共同で脚本を書き、カーク・ダグラスを主役に向かえて映画化するつもりでしたが、肝心のダグラスがこれを気に入らずボツになった経緯があります。本人も「復活させて映画化すつもりはない」と明言していますので、無名時代のキューブリックが書いた脚本にいかほどの価値があるのか疑問が残ります。
気になったのは記事中にフィリップ・ホッブスの名前があること。ホッブスが『ルナティック・アット・ラージ』の脚本を見つけたとニュースになっていましたが、この脚本もホッブスが見つけたのでしょうか? この方、キューブリックの長女カタリーナの元夫で、結婚時『フルメタル・ジャケット』の共同プロデューサーを務めたのですが、『アイズ…』には病気で不参加、キューブリック逝去の際には様々な手配に奔走したそうです。その後カタリーナと離婚(原因は不明)してしまいました。カタリーナと結婚する前はケータリング業(おそらく映画関係)をしていたそうなので、プロデューサーとしての力量は全く不明です。
記事には元ワーナーや元アップル幹部の名前もありますが、アップルが動画コンテンツのサブスク事業に乗り出しているのは周知の通りです。これからの5G時代、インフラはあれどコンテンツがないという事態は容易に想像できるので(この企画はTVシリーズですが)、こういった「ちょっとでも衆目を集められそうな企画」は今後も増えるでしょうし、その「衆目集め」のためにキューブリックなどのビック・ネームが利用されるということは起こりうるし、すでにこうして起こっています。
こちらがメディア・マスケーターズ社のサイト、こちらがそのフォーラン・フィルムズ社のサイト、こちらがその該当ページですが、これを見る限り実績は怪しい感じがします。どちらにしてもPVくらいは観せてもらわないとなんとも判断がつかないし、以前記事になってからすでに5年近くも経っていますので、このまま話が立ち消えにならないことを祈るばかりです。