2020年1月2日木曜日

【ブログ記事】交通事故で松葉杖をつく『ロリータ』の主演女優スー・リオンと、唯一の実娘ノーナ・ハリソンについて

source: KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック


Sue Lyon, 1965_2

Sue Lyon, 1965

 1965年に交通事故に遭い、松葉杖をつくスー・リオンの画像です。この1965年というのはジョン・フォードの『荒野の女たち』の制作の頃。撮影などに影響がなかったところを見ると、事故は撮影終了(4月12日)後だと予想されます。

 1970年代に入るとスーは黒人のローランド・ハリソンと結婚してスペインに渡り、それもすぐ離婚して帰国。今度は強盗殺人犯と獄中結婚し、また離婚。やっと落ち着いたのはラジオエンジニアのリチャード・ラドマンと結婚した1985年頃からで、1994年には幸せそうな手紙をキューブリックに送っています。スーは以前「私の人格崩壊はこの映画(『ロリータ』)から始まった」と語っていましたが、その手紙には「私の成功はあなたがいたから」などと手のひら返しの感謝の言葉が綴られています。しかしその幸せも長続きせず、2002年にはラドマンと5度目の離婚をしています。

 17年も連れ添ったラドマンとの離婚の原因は定かじゃありませんが、『ロリータ』はビデオ、LD、DVD、BDとソフト化を繰り返し、その度に莫大な報酬がスーに支払われていたはず。「キューブリックブランド」の恩恵に預かったスーが、薄給(ローカルラジオ局勤務なのでたいした給料でないはず)のラドマンに対し何らかの不満を募らせたとしても、彼女のこれまでの言動から察するに余りあるものがあります。その結果が離婚なら、さもありなん、といったところでしょうか。

 ところでスーにはハリソンのとの間にノーナという娘がいるのですが、スーの死を公表したのは「長年の友人」であるフィル・シラコポロスという人物でした。この事実から事情ありげな母娘関係が想像できますが(白人と黒人の娘であるノーナは施設に預けられるなど、かなり劣悪な境遇を強いられたそうです)、自滅的・破滅的人生を送ったスーらしいとも言える、なんとも残念で寂しい幕切れとなってしまいました。

 なお、ノーナの現況ついてですがNona Truth Seekerの名前で活動していますので、興味のある方は検索してみてください。ただ、彼女のTwitterでは母親の死についての記事をコメントなしでリツイートしたのみです。あまり母親の件には触れない方が賢明な気がしますので、そっと覗く程度にしておくことをおすすめいたします。

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スーとノーナ。1970年代前半頃。