2015年2月24日火曜日

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source: KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック




 米映画サイトThe Playlistが、傑作として評価されているにもかかわらず、アカデミー賞のどの部門にもノミネートされなかった映画50本を特集している。



 毎年ノミネーションが発表されると、アカデミーによって冷遇された映画や俳優が話題になる。今年は、キング牧師と公民権運動を描いた「セルマ(原題)」が作品賞と主題歌賞以外ノミネートされなかったことや、「LEGO(R) ムービー」が長編アニメ映画部門から漏れたことに多くの人が異議を唱えた。



 今回の50本には、オーソン・ウェルズ監督、エルンスト・ルビッチ監督、ニコラス・ローグ監督、ハワード・ホークス監督、セルジオ・レオーネ監督、スタンリー・キューブリック監督、コーエン兄弟監督の作品が複数入っている。



 50本は以下の通り(原題のアルファベット順)。



(以下リンク先へ:映画.com/2015年2月23日








 毎度毎度この時期になると、不可解なノミネーションと選考が話題になるアカデミー賞。今度の記事は「ノミネーションすらされていない」という事なので、キューブリック作品では『突撃』『シャイニング』がチョイスされています。



 身内が身内を選んでありがたがるアカデミー賞にキューブリックは縁遠かった(『2001年…』の特殊視覚効果賞のみ)ですが、理由はいくつか考えられます。まずその閉鎖性。ハリウッドのいっさいの「つきあい」に背を向けて、イギリスに住み続けたキューブリックをアカデミー会員が快く思っていない事。分かりやすいメッセージ性があり、しかも左派傾向のある作品が選ばれる傾向のあるアカデミー賞に、キューブリックの「シニカルで冷徹で突き放した世界観」が受け入れられにくい事。そしてハリウッドの映画制作システムの、上から下まで雁字搦めで、細分化された分業制の非効率を嫌い、それを受け入れてこなかった事。すぐ思いつくのはこの3つくらいでしょうか。



 キューブリックはアカデミー賞受賞によってもたらされる興行的価値をよく知っていたので、一時期は熱心にアカデミー賞を欲しがっていたようです。でも、80年代後半から90年代に入ってくると、アカデミー賞やグラミー賞いった「賞取レース」にあまり大衆の興味が向かなくなりました。大衆の嗜好の細分化がその大きな理由のように思います。それは日本でもレコード大賞等を見る限り、状況は同じのようです。



 まあ、いつかはアカデミー功労賞を受賞してしまうかもしれませんが、もしそうなったとしてもキューブリックファンの溜飲が下がる事はないでしょう。それよりも永遠に「無冠の巨匠」であり続けて欲しいと切に願っています。





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