2015年3月4日水曜日

幕が上がる

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評








弱小演劇部が高校演劇の全国大会を目指す青春映画「幕が上がる」。アイドル映画以上に青春映画。



地方都市の高校の演劇部に所属するさおりは、高校最後の1年を迎えようとしていた。地区大会さえ勝ったことがない演劇部だが、新任の美術教師で元・学生演劇の女王こと吉岡先生に励まされ、全国大会を目指すことに。なりゆきで部長になったさおりは、演出を担当することになるが、悩みを抱えながらも奮闘し、演劇の魅力に目覚めていく…。



原作は、劇作家・平田オリザが2012年に発表した小説。人気アイドルグループのももいろクローバーZを主演に迎えているが、これが単なるアイドル映画以上の出来栄えで驚いた。ももクロの楽曲を劇中のBGMに使うなどの演出はあるものの、それ以前に、青春映画として、高校演劇を描く学園ものとして、よく出来ている。ももクロのメンバーの演技は最初は拙く感じるのだが、真剣に演劇に打ち込み成長していくストーリーの中で、みるみる彼女たちは輝きはじめる。その変化が効果的なのだ。印象的なのは、劇中劇として登場する「銀河鉄道の夜」。まだ誰も見たことも行ったことがない宇宙には希望と不安が混在するが、たとえ永遠に追いつけない“宇宙の果て”でも、無限の可能性を信じて、踏み出していく。そんな少女たちの姿が清々しく胸を打つ。「踊る」シリーズの本広克行監督らしいエッジの効いたギャグ(時に夢想シーン)も楽しい。青春映画なのに、恋愛要素をバッサリと切り捨てたのも潔いというものだ。気迫あふれる、演劇部副顧問・吉岡先生役の黒木華のメリハリの効いた演技が特にいい。アイドル映画とバカにしてはいけない。この作品、なかなかの拾い物だ。

【65点】

(原題「幕が上がる」)

(日本/本広克行監督/百田夏菜子、玉井詩織、高城れに、有安杏果、佐々木彩夏、他)

(青春映画度:★★★★★)

チケットぴあ



にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ ←ランキング参加中です!



人気ブログランキング ←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)



幕が上がる@ぴあ映画生活