source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
人里離れたカフェで女店主と常連客との謎めいた物語を綴る「迷宮カフェ」。ミステリアスな印象のタイトルだが終わってみればさわやかな感動作。
落ちぶれた週刊誌の記者・榎木田は、人里離れた山奥にあるカフェを訪れる。そこでは訪れた客が次々に失踪するという噂があり、榎木田はそれを記事にしてカネにしようと、客を装って取材を始めた。主な常連客は、気弱なボディビルダーの松浦、婚約者に逃げられたアスカ、頭脳明晰で無差別殺人を計画していたというスグルの3人。調査を進めるうちに美人の女店主・マリコの驚くべき秘密が明らかになる…。
いきなりネタバレのようで恐縮だが、本作では骨髄移植を扱っている。癒えない傷を抱えて生きるカフェの女主人・マリコが自殺志願者をひそかに募るのは、骨髄移植のドナー登録ためであることは、物語が始まってすぐに明かされる。ドナー登録し、適合者がみつかるまで、マリコからかくまわれる形で生きる常連客は、共同生活の中で絆を見出し、骨髄移植のプロセスを通して、命の大切さを知るというストーリーなのだ。骨髄移植という重いテーマを扱っているのに、その語り口は淡々として時にユーモラス、説教臭さや社会派めいたムードはほとんどない。無論、マリコが山奥のカフェを営みながら、何人もの人間の面倒をみるという設定は、少々リアリティに欠ける。だが、徐々に明かされるマリコの過去、ミステリアスというよりファンタジックな演出が実は…という意外な着地点、常連客の心の変化やマリコ自身の再生などは、人間ドラマとして丁寧に描かれていて、むしろ好印象だ。本作は、実際に娘を急性骨髄白血病で亡くした母親の体験がきっかけで生まれたそう。骨髄移植に関する啓蒙はもちろん込められているが、人と人との絆が生きる希望になるというメッセージが自然な形で伝わってくる。ラストの海の場面が、清々しく心に残った。
落ちぶれた週刊誌の記者・榎木田は、人里離れた山奥にあるカフェを訪れる。そこでは訪れた客が次々に失踪するという噂があり、榎木田はそれを記事にしてカネにしようと、客を装って取材を始めた。主な常連客は、気弱なボディビルダーの松浦、婚約者に逃げられたアスカ、頭脳明晰で無差別殺人を計画していたというスグルの3人。調査を進めるうちに美人の女店主・マリコの驚くべき秘密が明らかになる…。
いきなりネタバレのようで恐縮だが、本作では骨髄移植を扱っている。癒えない傷を抱えて生きるカフェの女主人・マリコが自殺志願者をひそかに募るのは、骨髄移植のドナー登録ためであることは、物語が始まってすぐに明かされる。ドナー登録し、適合者がみつかるまで、マリコからかくまわれる形で生きる常連客は、共同生活の中で絆を見出し、骨髄移植のプロセスを通して、命の大切さを知るというストーリーなのだ。骨髄移植という重いテーマを扱っているのに、その語り口は淡々として時にユーモラス、説教臭さや社会派めいたムードはほとんどない。無論、マリコが山奥のカフェを営みながら、何人もの人間の面倒をみるという設定は、少々リアリティに欠ける。だが、徐々に明かされるマリコの過去、ミステリアスというよりファンタジックな演出が実は…という意外な着地点、常連客の心の変化やマリコ自身の再生などは、人間ドラマとして丁寧に描かれていて、むしろ好印象だ。本作は、実際に娘を急性骨髄白血病で亡くした母親の体験がきっかけで生まれたそう。骨髄移植に関する啓蒙はもちろん込められているが、人と人との絆が生きる希望になるというメッセージが自然な形で伝わってくる。ラストの海の場面が、清々しく心に残った。
【60点】
(原題「迷宮カフェ」)
(日本/帆根川廣監督/関めぐみ、市川由衣、藤原薫、他)
・迷宮カフェ@ぴあ映画生活