2015年6月2日火曜日

夫婦フーフー日記

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


夫婦フーフー日記 (小学館文庫)
実話をもとにしたブログから誕生した夫婦愛の物語「夫婦フーフー日記」。死と向き合うには、笑いが必要なのかもしれない。

ダンナことコウタとヨメことユーコは、交際から17年を経て、めでたく結婚。入籍してすぐに妊娠がわかり大喜びするが、ヨメに悪性腫瘍があることがわかる。ダンナは2人の日常を日記のようにブログに記していく。やがて子供のぺーが生まれるが、ヨメの容体が悪化しついに他界。悲しみから立ち直れないダンナにブログの書籍化の話が舞い込み、現実逃避するかのように原稿に向かうダンナの前に、死んだはずのヨメが現われる…。

原作は、川崎フーフさんの闘病ブログを基に書籍化した「がんフーフー日記」。出会いから長い長い友達期間、互いにかけがえのない相手だと知って結婚し、出産と闘病。ヨメの死を除けば、ありふれた、でも愛おしい平凡な男女の愛の軌跡だ。ダンナはちょっと頼りないが心根は優しいし、ヨメは一見豪快だが実は繊細な性格。そんなお似合いの夫婦を演じる佐々木蔵之介と永作博美(W主演)がとてもいい。幸福な時もつかのま、幼い子供を残して妻が悪性腫瘍(がん)のために若くして他界…と聞くと、典型的な難病モノに思えるが、本作は、死んだはずのヨメが生きているダンナの前にしばしば現われては、ツッコミを入れたり、励ましたり、はたまた思い出にふけったりと、ユーモラスな設定を加えている。このファンタジックな演出が功を奏して、しめっぽさは皆無だ。無論、泣かせどころはきっちりと押えている。残されたダンナが喪失感を乗り越えるまで、そして現生に心を残しているであろうヨメが、安心して旅立つまで。切なくも可笑しい夫婦の物語は、“死”を終わりではなく、再生の第一歩として描くことでポジティブな後味を残してくれた。
【60点】
(原題「夫婦フーフー日記」)
(日本/前田弘二監督/佐々木蔵之介、永作博美、佐藤仁美、他)
(お涙頂戴度:★☆☆☆☆)
チケットぴあ

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