2015年6月7日日曜日

予告犯

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


予告犯 コミック 全3巻完結セット (ヤングジャンプコミックス)
ネット上で予告犯罪を繰り返す集団と彼らを追う女性捜査官の攻防を描くサスペンス・スリラー「予告犯」。後半が少々しめっぽい。

ある日、インターネットに、新聞紙で作られた頭巾を被ったTシャツ姿の男が、犯罪を予告する動画を投稿する。男は通称シンブンシと呼ばれ、世間を欺く企業や会社、無思慮な個人に容赦なく制裁を加える犯罪を予告しては実行していた。警視庁サイバー犯罪対策課の捜査官・吉野絵里香が捜査に着手し、シンブンシが複数犯であることを突き止め、彼らの背景に肉薄していく。しかし、ネット上では、シンブンシの犯罪を支持する投稿や模倣犯までもが出現。ついには政治家の殺害予告の動画まで投稿され、“シンブンシ事件”は社会現象となっていく…。

原作は筒井哲也による人気マンガで、ネット犯罪の恐怖を描いて大反響を呼んだ作品。中村義洋監督は「白ゆき姫殺人事件」でも、同じくネットの無責任な言動の恐ろしさを描いているが、今回は、画面に向かって語りかける犯罪予告という演出がより映画向けの雰囲気を作りだしている。映画は、謎の予告犯罪を繰り返す犯罪集団“シンブンシ”は、誰が何のために行っているのか?という疑問を、回想も含めて紐解いていくが、そこには、格差社会の歪や、ネット上の無思慮な言動が織り込まれている。謎解きは映画を見て確かめてもらうとして、後半はシンブンシたちのつながりや犯罪の動機が描かれ、サスペンスというよりやるせないヒューマン・ドラマに。これが少々しめっぽいので、スピード感が失われるのがちょっと惜しい。さらにシンブンシと捜査官の対立の構図も迫力不足だ。それでも主人公のシンブンシ(ゲイツ)を演じる生田斗真は、顔を覆って目だけの演技で凄味を出しているし、シンブンシ集団の仲間の友情には時にはユーモアも混じるので、ほっとさせられる。シンブンシが最終的にとる行動は意見が分かれるところだろうが、鑑賞後にいろいろと語りあってみるのも良さそうだ。劇中の「誰かのためであれば、小さなことでも人は動く」という言葉が物語の軸になっている。
【65点】
(原題「予告犯」)
(日本/中村義洋監督/生田斗真、戸田恵梨香、鈴木亮平、他)
(ヒューマン・ドラマ度:★★★★☆)
チケットぴあ

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