source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
(ショートバージョン)
世界経済の崩壊から10年。鉱物資源を求める無法者たちの巣窟と化したオーストラリアで、全てを失ったエリックは、唯一の持ち物で命より大切な愛車を強盗団に奪われる。彼らを追跡するエリックは、強盗団のリーダーから置き去りにされた男レイと出会い、共に強盗団を追うことになるのだが…。
荒廃した近未来のオーストラリアで荒野をさすらう絶望した男を描く「奪還者」は、設定からして「マッドマックス」を思わせる。実際、裏マッドマックス的要素は多々あるが、こちらはド派手なアクションよりもむしろ、物悲しい人間ドラマだ。なぜエリックが自分の愛車にこれほどまでに執着するのか、という謎は終盤に明かされるが、その途中で、強盗団の一人でリーダーの弟なのに置き去りにされてしまったレイと奇妙な友情にも似た絆を育んでいく。バイオレンス映画なので、銃撃戦が描かれるのはいいとしても、この映画、関係ない人間まで(しかも罪のない女子供まで!)バタバタと大量に死んでいくから驚く。終末映画としてはかなり、情け容赦ない展開だ。さらにエリック役のガイ・ピアースの常軌を逸した言動のせいで、絶望感がジリジリと高ぶってくるのだ。しかし、ラスト、エリックが車を奪還する理由が明かされたとき、絶望の中のひとかけらの希望を見る思いがして切なくなった。監督が、バイオレンスと家族の絆を同居させた問題作「アニマル・キングダム」のデヴィッド・ミショッド監督と聞いて、本作の奇妙な世界観が何となく腑に落ちる。
荒廃した近未来のオーストラリアで荒野をさすらう絶望した男を描く「奪還者」は、設定からして「マッドマックス」を思わせる。実際、裏マッドマックス的要素は多々あるが、こちらはド派手なアクションよりもむしろ、物悲しい人間ドラマだ。なぜエリックが自分の愛車にこれほどまでに執着するのか、という謎は終盤に明かされるが、その途中で、強盗団の一人でリーダーの弟なのに置き去りにされてしまったレイと奇妙な友情にも似た絆を育んでいく。バイオレンス映画なので、銃撃戦が描かれるのはいいとしても、この映画、関係ない人間まで(しかも罪のない女子供まで!)バタバタと大量に死んでいくから驚く。終末映画としてはかなり、情け容赦ない展開だ。さらにエリック役のガイ・ピアースの常軌を逸した言動のせいで、絶望感がジリジリと高ぶってくるのだ。しかし、ラスト、エリックが車を奪還する理由が明かされたとき、絶望の中のひとかけらの希望を見る思いがして切なくなった。監督が、バイオレンスと家族の絆を同居させた問題作「アニマル・キングダム」のデヴィッド・ミショッド監督と聞いて、本作の奇妙な世界観が何となく腑に落ちる。
【65点】
(原題「THE ROVER」)
(豪・米/デヴィッド・ミショッド監督/ガイ・ピアース、ロバート・パティンソン、スクート・マクネイリー、他)
・奪還者@ぴあ映画生活