2015年7月21日火曜日

パージ

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


Purge [Blu-ray] [Import]
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(ショートバージョン)
近未来。アメリカでは、年に12時間だけ、殺人を含む全ての犯罪行為を合法にする法律が定められていた。パージと呼ばれるその日の夜、ジェームズは完璧なセキュリティシステムによって保護された自宅で妻子と共に過ごしていた。だが、一人の男が一家に助けを求め、息子がセキュリティを解除して男を家にかくまったため、暴徒化した近隣住民に取り囲まれ、一家は危険にさらされてしまう…。

殺人が合法になった近未来での恐怖の一夜を描くサバイバル・サスペンス「パージ」は、ようやく日本公開となった作品だ。籠城戦で戦う主人公という設定は、いわゆる密室劇のような濃密な空気がある。しかし、この話、かなりのムチャぶりと矛盾が多く、別の意味で、目が離せない。国民の憎悪を暴力によって発散させることで治安を維持しようという考えしかり。“完璧な”セキュリティシステムがあっさりと破られる展開しかり。権力側の恩恵を被っていた富裕層の主人公が非常事態に際していきなり倫理観に目覚めても、彼が暮らすそこは、もはやディストピアなのだ。ネタバレは避けるが、非常時から、12時間後の常時に戻ったとき、ご近所付き合いに支障をきたすことは間違いない。そんな“余計なお世話”をやきたくなる本作、つっこみどころ満載なのが逆にウケたのか、続編(「パージ:アナーキー」)も公開される。確かにアイデアそのものは面白い。狂ったシステムの中での匿名性の暴力の是非を問う物語は、真面目にとらえれば社会派ドラマなのだから。
【60点】
(原題「THE PURGE」)
(アメリカ/ジェームズ・デモナコ監督/イーサン・ホーク、レナ・ヘディ、アデレイド・ケイン、他)
(バイオレンス度:★★★★☆)
チケットぴあ

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