2015年8月7日金曜日

ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


Mission: Impossible - Rogue Nation - O.S.T.
スパイ組織IMF解体の危機と、謎の組織シンジケートにイーサン・ハントが挑む「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」。トムの身体をはったアクションと、緻密なストーリーでシリーズ屈指の出来栄え。

超敏腕スパイ、イーサン・ハント率いる「IMF」に解体の危機が迫る中、世界中で勃発するテロを影で操る、悪の多国籍組織“シンジケート”が行動を開始する。国際指名手配となり、組織という後ろ盾がないまま最強の敵に立ち向かうことになるイーサンだったが…。

大人気アクション・シリーズ最新作の副題は、ローグ・ネイション(ならず者組織)というから、何やら穏やかではない。IMFが組織存続のためありもしない危機と敵を作りだしたという理由で解体させられるという設定は、まるでどこかの国が中東で行った戦争を思い起こさせる。それはさておき、このシリーズの売りの一つは、スーパースターのトム・クルーズが自ら危険なスタントを行うリアル・アクションにあるが、今回はなんと時速400キロで高度1500メートルに上昇する軍用機体にしがみつく。しかもそのシークエンスをいきなり冒頭に持ってくるのだから、作り手の自信がうかがえるというものだ。映画前半は、IMF解体後、指名手配となったイーサンが、盟友ベンジーの助けを借りながら、敵に徐々に近づいていくが、この前半は2人の硬軟合わせ持つかけあいが見どころ。それ以降も、華麗なウィーンのオペラ劇場での「知りすぎた男」風の暗殺シークエンス、高水圧の巨大貯水槽へのダイブ、山道を舞台にした激しいバイクアクションと、多彩な見せ場でまったく飽きさせない。サスペンス部分も秀逸で、イーサンの危機に何度も姿を現す正体不明の美女イルサの目的や、英国のMI6の不穏な動き、手段を選ばず暗躍するシンジケートのスパイ組織が三つ巴に。ド派手なアクションでビジュアル面を充実させつつ、国家や組織間の力関係が複雑にからみあう展開が無理なく同居するストーリーが秀逸である。クルーズと度々タッグを組んでいるクリストファー・マッカリー監督の、秀作サスペンス「ユージュアル・サスペクツ」でアカデミー賞脚本賞を獲得した実力を改めて感じさせる内容だ。単純にハリウッド大作を楽しみたいファンも、映画に知的な娯楽を求めるファンも、両方を満足させてくれる出来栄えに仕上がっている。見逃し厳禁だ。
【75点】
(原題「MISSION:IMPOSSIBLE ROGUE NATION」)
(アメリカ/クリストファー・マッカリー監督/トム・クルーズ、サイモン・ペッグ、ジェレミー・レナー、他)
(痛快度:★★★★☆)

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