2015年9月11日金曜日

キングスマン

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


KINGSMAN: SECRET SERVICE
秘密裡に活躍するスパイ組織が凶悪な敵の陰謀に立ち向かう「キングスマン」。コリン・ファースってアクションもできるのか!

ロンドンの高級スーツ店“キングスマン”の実体は、どこの国にも属さない超エリートスパイ組織。中でもブリティッシュスーツを小粋に着こなす紳士ハリーは、凄腕のスパイで、日々任務を遂行していた。ある時、キングスマンの仲間が何者かに殺害される。ハリーは街の不良少年エグジーにスパイの素質を見出して、彼をスカウトし教育することに。実はエグジーの父親も、かつてキングスマンに属していたのだ。そんな中、巷では科学者の失踪事件が頻発。事件の首謀者のヴァレンタインは恐ろしい人類抹殺計画を進めていた…。

世界平和を守っている組織が実は貴族のスパイ組織だという設定がいかにもイギリスらしい。だが英国映画は階級闘争を描くとき、常に古い貴族社会に労働者階級という爆弾を放り込んで新風を巻き起こす。ハリーは貴族がすでに過去のものになりつつあることを知っているのだろう、かつて自分をかばって死んだ同僚の息子であるという恩義以上に、労働者の家庭で育ったエグジーの中に新時代を生きるスパイの可能性を見出して、一から仕込んでいく。傘や靴、ライターに万年筆といった男の伝統的アイテムに、それぞれ007ばりの仕掛けがあって実に楽しい。だが本作の一番の楽しみは、英国人オスカー俳優コリン・ファースがキレキレのアクションを見せてくれるという嬉しい驚きにあるのだ。街のチンピラたちをパブで蹴散らす場面はまだ序の口。教会での大虐殺アクション・シークエンスには度肝を抜かれた。まるでダンスを踊るかのような動きとリズミカルなカット割りは美しくクール。世界征服を企むヴァレンタインの部下で義足を凶器にした女殺し屋のアクションもまた、冴えている。監督のマシュー・ヴォーンは「キック・アス」でも意外性のあるヒーロー映画を作って見せたが、本作はそれに優雅さを加味した、痛快な進化形だ。
【70点】
(原題「KINGSMAN:THE SECRET SERVICE」)
(イギリス/マシュー・ヴォーン監督/コリン・ファース、マイケル・ケイン、サミュエル・L・ジャクソン、他)
(過激度:★★★★☆)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)
キングスマン@ぴあ映画生活