2015年10月12日月曜日

先生と迷い猫

source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【映画ノベライズ】先生と迷い猫 (宝島社文庫)
妻に先立たれた元校長先生は、近所では偏屈で有名だ。校長先生のところを訪ねてくるのは、先生が撮りためた古い写真を資料として残したいという市役所職員と野良猫のミイぐらい。猫が好きではない先生は、なんとかミイを追い払おうとするが、ミイはどんなに追っ払っても毎日やってきて、妻の仏壇の前に座っていた。そんなある日、ミイが突然姿を消す。そうなると気になった先生が探し始めたところ、自分の他にもミイを探している人たちがいたことが判明。先生は、ミイを探すことで次第に地域の人々と触れ合っていく…。

木附千晶さんのノンフィクション「迷子のミーちゃん 地域猫と商店街再生のものがたり」を原案とする映画「先生と迷い猫」は、一匹の野良猫が巻き起こす小さな奇跡を描く物語だ。奇跡といっても大それたことではない。カタブツで偏屈な校長先生がミイを追い払うのは、亡き妻が可愛がっていたミイを見ると、妻の死と現在の寂しい自分を再認識してしまうから。ミイを可愛がっていた町の人々もそれぞれ悩みを抱えていて、ミイによって心を癒されていた人たちなのだ。ミイは、何かをするわけじゃないばかりか、途中からはその姿さえみせない。そんな気ままで自由な猫を通して人々がつながるというところが面白い。ミイを演じるのは“プロの女優”のドロップ。通常、動物が演技をする場合は、複数で演じることが多いが、このドロップは愛らしい姿からふてぶてしい表情、のんびりくつろぐ姿まで一人(一匹)で演じきっているというからたいしたものだ。物語は猫探しではなく、いわば人情探し。偏屈だけど味がある主人公を演じるイッセー尾形のひょうひょうとした味わいと、動物ものによくある“泣かせ”がないところがかえって粋だ。
【60点】
(原題「先生と迷い猫」)
(日本/深川栄洋監督/イッセー尾形、染谷将太、北乃きい、他)
(萌え度:★★★★☆)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)
先生と迷い猫@ぴあ映画生活