source: 映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評
2007年、シカゴに住む青年ジョン・マルーフは、オークションで偶然目にしたヴィヴィアン・マイヤーという無名の女性が撮影した写真のネガを落札する。大量の古い写真の一部をネットにアップするとその独特で美しい写真センスに対して、すさまじい反響が押し寄せる。生前はナニー(乳母)だったヴィヴィアン・マイヤーとはいったい何者なのか? なぜ15万枚もの写真を撮りながら、1枚も発表しなかったのか? こうして、ジョン・マルーフのヴィヴィアン・マイヤーを探す旅が始まった…。
第87回アカデミー賞にノミネートされたドキュメンタリー「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」は、まさに驚愕のお宝発見の物語だ。映画は、ヴィヴィアンが撮ったアーティスティックな写真を紹介しながら、この無名の女性の人生を紐解いていく。おしゃれでクールな写真、膨大なネガと私物、知れば知るほど風変りな性格のヴィヴィアン。映画は、プロの写真家でもない、ナニー(乳母)がなぜこんなにも芸術性の高い写真を撮れたのか?という謎よりも、むしろ、なぜ15万点以上の写真を撮影しながら、生前誰にも見せず、作品を発表することがなかったのか?という疑問を軸にしている。おびただしい数の写真の中で目をひくのは、自分自身を撮影した多くの写真だ。変わり者で、生涯独身、人付き合いがヘタなヴィヴィアンの生涯からは、徹底した秘密主義と同居する自己顕示という矛盾が浮かび上がる。人間というのは、まったくもって不可思議な生き物だ。それにしても、登場する写真はどれも素晴らしい。こういう埋もれた芸術家とその才能が、歴史の片隅で発見されるのを待っているのだと思うと、偶然という力の偉大さを改めて感じてしまう。
第87回アカデミー賞にノミネートされたドキュメンタリー「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」は、まさに驚愕のお宝発見の物語だ。映画は、ヴィヴィアンが撮ったアーティスティックな写真を紹介しながら、この無名の女性の人生を紐解いていく。おしゃれでクールな写真、膨大なネガと私物、知れば知るほど風変りな性格のヴィヴィアン。映画は、プロの写真家でもない、ナニー(乳母)がなぜこんなにも芸術性の高い写真を撮れたのか?という謎よりも、むしろ、なぜ15万点以上の写真を撮影しながら、生前誰にも見せず、作品を発表することがなかったのか?という疑問を軸にしている。おびただしい数の写真の中で目をひくのは、自分自身を撮影した多くの写真だ。変わり者で、生涯独身、人付き合いがヘタなヴィヴィアンの生涯からは、徹底した秘密主義と同居する自己顕示という矛盾が浮かび上がる。人間というのは、まったくもって不可思議な生き物だ。それにしても、登場する写真はどれも素晴らしい。こういう埋もれた芸術家とその才能が、歴史の片隅で発見されるのを待っているのだと思うと、偶然という力の偉大さを改めて感じてしまう。
【70点】
(原題「FINDING VIVIAN MAIER」)
(アメリカ/ジョン・マルーフ、チャーリー・シスケル監督/ヴィヴィアン・マイヤー、ジョン・マルーフ、ティム・ロス、他)
・ヴィヴィアン・マイヤーを探して@ぴあ映画生活