2015年10月7日水曜日

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source: KUBRICK.blog.jp|スタンリー・キューブリック



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 日本ではあまり話題になりませんでしたが、今春、欧米で米IBMの人工知能(AI)「ワトソン」が考案した初の料理レシピ本が発売されました。が、「ベーコン味のプリン」や「チョコレートと牛ひき肉のトルティーヤ包み」といった不思議な料理に多くの人々が仰天。「こんなん料理本と違う!」との批判も出るなど物議を醸しました。

(以下はリンク先で:産経WEST/2015年10月4日




 非人間型AIのワトソンの記事を元に映画を語るなら、人間型ロボット(ヒューマノイド)がテーマの『A.I.』ではなく、自立思考型コンピュータであるHALが登場する『2001年…』の方でしょうね。見た目もHALとモノリスを合体させたような姿をしていますし、話し方もなんとなくHALっぽいです。この記事はテーマと比較対象の映画が適切でないので、全くの的外れであるとしか言いようがありません。

 記事の言う「当時のAIに対する大衆の認識というのは、この映画(『A.I.』)のようにつかみどころのない漠然としたものでした。」とは、ヒューマノイドが当たり前に存在する未来世界の事だと思いますが、それは公開当時の2001年だけでなく現在でも「つかみどころのない漠然としたもの」です。しかしワトソンは『A.I.』のデイヴィッドではなくHALですので、『2001年…』でHALが判断の正確さを期すあまり、人間にとって不都合な判断をしてしまったというストーリーは、まさしくこのワトソンが引き起こした問題と同じだと言えるでしょう。

 「昨今のすさまじい技術革新によって、AIはわれわれの日常生活に深く関わるようになっています。」も思考型コンピュータの話であって、ヒューマノイドの話ではありません(イロモノ的な変なホテルがせいぜい)。つまりワトソンなら『2001年…』のHAL、上記記事ではなく、この記事なら『A.I.』のデイヴィッドやジゴロジョーが比較対象の作品としては正しいでしょう。

 思考型コンピュータの進化した形がヒューマノイドですが、ヒューマノイドはヒューマノイドならではの問題が想定されています(他に有名なところでは『ブレードランナー』)。スピルバーグ&キューブリックの『A.I.』はむしろそちらがテーマです。そもそもAI=ヒューマノイドではありませんしね。その点を誤解しているのか、知っててワザととぼけているのかはわかりませんが、あまりにもお粗末。まあ読んだらすぐ忘れろと言わんばかりの、単にアクセス稼ぎの飛ばし記事ですね。